退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『青空娘』(1957) / 若尾文子主演のアイドル映画

新文芸坐の《大映女優祭 in 新文芸坐》で映画『青空娘』(1957年)を鑑賞。原作は源氏鶏太の小説。当日の併映作は『祇園囃子』で、フライヤーには「溌剌! 若尾文子」とあった。

先日見た『くちづけ』に続く増村保造の監督2作目。増村が若尾文子と初めて出会った記念碑的作品である。以後、この二人は20本もの作品を残すことになる。

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伊豆で祖母に育てられた有子(若尾文子)は、高校卒業を機に東京の父母の家に引き取られることになる。そこで継母(沢村貞子)や異母兄弟たちから女中扱いされる。ある日、実母が東京にいることがわかり母探しを始めるが……。

継子いじめという、後の大映テレビを彷彿とさせる古典的な題材をスピーディに描いた青春映画。とくに異母姉の男友達(川崎敬三)と卓球するシーンは秀逸。お見逃しなく。

逆境にも負けず健気に生きる、そして決して涙を見せない主人公は戦後女性の象徴か。終盤に実父(信欣三)にチクリと意見するあたりは戦前も家長制度のアンチテーゼと解釈できるだろう。

若尾文子が、セーラー服、赤いスカートに白いブラウス、ポニーテールにノースリーブと男好きのしそうな健康的な姿を次々に披露して楽しめる。タイトルの「青空娘」のとおり、カラー映像を存分に活かしたシーンがまぶしい。

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「青空娘」:若尾文子

「青空さん、こんいちは」と言って許されるのは、時代もあるだろうが若いころの若尾ならではだろう。いまみてもアイドル映画として十分に通用するし、NHKの朝ドラのようでもある。気分爽快になれる青春映画の佳作。

キネマ旬報 2015年6月下旬号 No.1690