退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『就職戦線異状なし』(1991) / 売り手市場だった就活を題材にした青春グラフィティ

神保町シアターの「私をバブルに連れてって 《バブリー映画特集》」という企画で、映画『就職戦線異状なし』(1991年、監督:金子修介)を鑑賞。新卒採用が空前の売り手市場だった当時の就活を描いた作品。槇原敬之の主題歌「どんなときも。」がヒットした。ちなみにタイトルの「就職戦線異状なし」はハリウッド映画『西部戦線異状なし』のパロディである。

就職戦線異状なし [VHS]

就職戦線異状なし [VHS]

早稲田大学社会科学部4年生の大原(織田裕二)が、マスコミ志望の立川(的場浩司)に触発されてマスコミ業界への就職の目指し就活を始める。大原に好意を寄せる友人の毬子(仙道敦子)は大原をモデルに就活ルポを書こうと彼に密着する。

夏になり就職戦線が本格化。未だに内定がない大原と立川は狭き門の本採用に望みを賭けて、エフテレビ(フジテレビ!?)を受ける。大原は、なぜか次々に面接を突破するが、これは、大原が殴り飛ばしたエフテレビの採用担当・大原(本田博太郎)の陰謀だった。しかし毬子やエフテレビ社員・葉子(和久井映見)の助けもあり、なんとか最終面接に残り、内定をもらうことに成功する。

しかし大原は、いまさらながら就職とは何かを考え始める。考えた挙句、エフテレビの内定を辞退してスポーツ用品メーカーに務めることを決め、社会人としての一歩を始める。

f:id:goldensnail:20171226171004j:plain

まあこんなストーリーだが、正直映画としてはたいして面白くない。しかしネット時代以前の就職活動の様子をフィルムに残している点は価値があるだろう。

映画冒頭で電話帳何冊分もあろうという就職情報誌が大原のアパートに届くシーンがある。同じような情報誌が自宅まで届いて驚いた人も多いだろう。どこで住所を調べたのかいまだに不思議だ。そのほかにも内定者の露骨な拘束などは、売り手市場ならでは珍事であり風俗史としても面白い。

出演者に目を向けてみると、織田裕二が主人公をアツく好演しているのはさすがというところ。女優陣が個人的に豪華なのはうれしい。なかでも和久井映見が、イメージとは違うのにバブル期のファッションを着替えて次々登場するのは眼福。ファン必見! また鶴田真由伊藤智恵理のミニスカもまぶしい。それにしても仙道敦子のヘアスタイルがへん。当時流行したのか、それともワセジョだからアレでいいのかは不明。

劇中エフテレビ採用担当役の本田博太郎が「マトモな奴を採らないとエフテレビも終わりだぞ!」と吠えていたが、四半世紀後に本当にそうなるとは誰も予想できなかっただろう。盛者必衰の理。そこがいちばん印象に残った。

余談だが、ネット時代以降のいまどきの就活を描いた映画には『何者』(2016年)がある。本作と併せてみると時代の変遷を感じることができるかもしれない。

f:id:goldensnail:20171226170914j:plain