退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『杉原千畝 スギハラチウネ』(2015) / 〈東洋のシンドラー〉と呼ばれた男・センポ

DVDで映画『杉原千畝 スギハラチウネ』(2015年、監督:チェリン・グラック)を鑑賞。実在した外交官・杉原千畝 (すぎはら ちうね、1900-1986)の生涯を描いた伝記映画。

第二次世界大戦中、リトアニアのカウナス領事館に赴任していた杉原千畝唐沢寿明)が、ドイツ・ナチスの迫害により欧州各地から逃れてきた難民の窮状に同情し、大量の通過査証(ビザ)を発給し、多くの避難民を救った美談を描いた作品。

よく知られた史実を扱った作品なので、娯楽性に乏しい退屈な映画かなと思って見始めた。が、満州で諜報外交官として活躍する杉原が列車のなかで敵に追われるという、スパイアクション映画さながらの緊迫したシーンから始まりちょっと驚いた。途中でもカーチェイスが挿入されるなどメリハリの効いた演出になっている。

この手の史実を基にした映画は、主人公に説得力があるかどうかが肝だと思うが、主演の涸沢は好演していて安心して見れた。かなり前に杉原千畝加藤剛が演じるドラマを見たが、唐沢も加藤も誠実な人物を演じると持ち味を発揮するようだ。

他の出演者では、杉原の妻を演じる小雪も印象に残った。唐沢と釣り合いが取れないぐらいに、とにかくでかい。ぺったんこの靴でもかなりでかい。それでも舞踏会の和服姿はさすがのスタイルで見栄えがする。ビザ発給について唐沢の後押しする芝居もなかなかよかったが、もう少し見せ場がほしかった。


「杉原千畝 スギハラチウネ」予告

全編を通して重厚な作りで概ね満足できたが、英語劇なのがやや不満だった。日本人同士が会話するシーンは日本語なのだが、その他のシーンはおもに英語が使われていた。ここはロシア語だと思うシーンも英語なのはちょっと残念だった。杉原はロシア語の専門家だったので、そこは再現してほしかった。

また欲を言えば、杉原が外務省に入る前の生い立ちや、敗戦後、外務省を追われるあたりも詳しく描いてほしかったが尺を考えると難しいだろう。いつか連続ドラマでじっくり描いた杉原千畝を見てみたいものである。もっと深く知りたい人物である。