退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

ついに「加計学園」獣医学部を認可、4月に開学へ

加計問題として、その手続きの不透明さが非難の対象となっていた、学校法人「加計学」が運営する岡山理科大獣医学部新設について、文科省が正式に認可したと発表した。既に「大学設置・学校法人審議会」が、9日付の答申で新設を認めていたので、いまさら驚かないがついに来年4月開学することが正式決定された。

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「岩盤規制をうがつ」というが…

今回の獣医学部の新設は52年ぶりというから、「岩盤規制」があったというのはまちがいない。その岩盤規制を「国家戦略特区」制度を用いて穿ったというのは、ある意味正しい。

しかし、今後申請があれば獣医学部の新設が認められるのかと思いきや、今回の新設は「国家戦略特区」により特例で1校限りとのこと。これでは既得権益のグループのなかに加計学園が加わったというだけで、岩盤規制はそのまま維持されていることになる。

これではとても「岩盤規制」を穿ったとはとても言えないだろう。

「李下に冠を正さず」というが…

しかも加計学園理事長の加計孝太郎氏は安倍晋三首相の友人として知られる。国家戦略特区により獣医学部新設を認めると言われても、「友人だから加計学園が優遇されたのでは?」という疑念が払拭できない。いわゆる「加計ありき」という指摘である。

安倍首相はさかんに「李下に冠を正さず」と言っているが意味をわかっているのだろうか。合理的な理由があって獣医学部を新設を認めるにしても、要らぬ疑念を持たれないように自分と関係している大学からの申請は受け付けないというのが普通の感覚ではあるまいか。

「丁寧な説明」というが…

加計問題について、安倍首相はこれまで何度も「丁寧に説明する努力を積み重ねたい」と述べ、「丁寧な説明」という言葉を使ってきた。それは果たして実行されたのだろうか。

「丁寧な説明」をするどころか、強引に衆議院を解散して総選挙に持ち込んだと考える有権者が多いだろう。その総選挙で国民が安倍政権に「ノー」を突きつけるかと思いきや、フタを開けてみれが与党が大勝。「安倍一強」がますます強調される結果となった。

今回の新設認可も政治的な思惑で選挙結果を待っていたようにすら思える。選挙に勝ったのだからなんでもアリだよね、という傲慢さが見え隠れする。

加計学園獣医学部の今後は…

今回の獣医学部新設は国家戦略特区の4条件(いわゆる石破4条件)に沿ったものだとされる。具体的には以下のとおり。

  1. 現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、
  2. ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、かつ、
  3. 既存の大学・学部では対応困難な場合には、
  4. 近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。

たいそうなお題目が並んでいるが、本当に既存の大学・学部で対応困難なことが「加計学園獣医学部で実現できるのだろうか。

その答えは初めての卒業生が社会に出る6年後にはある程度わかるだろう。そのころにはさすがの安倍政権も続いていないだろうし、責任を追求されることもないだろう。そればかりか、いったん開学した私立大学の学部を行政が廃止するのは困難であり、今後長期にわたり助成金補助金が注ぎ込まれることは間違いない。本当にこれでいいのだろうか。

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