退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ライトスタッフ 』(1983) / マーキュリー計画と孤高のテストパイロットの話

新文芸坐の《魅惑のシネマクラシックスVol.25 ワーナー・ブラザース シネマフェスティバル PART 3》という企画で、映画『ライトスタッフ』(1983年、監督:フィリップ・カウフマン)を鑑賞。NASAマーキュリー計画に従事した7人の宇宙飛行士を実話を基に描いた長編映画。上映時間193分。休憩なし。

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先日、宇宙に人間を送り出す国家プロジェクトであるマーキュリー計画に貢献した黒人女性を題材にした映画『ドリーム』を見たが、またもやマーキュリー計画にぶつかった。今度はアメリカ初の宇宙飛行士であるマーキュリー・セブンが主役。宇宙計画の広告塔としてスポットライトを浴びる宇宙飛行士たちとは対照的に、音速の壁に挑戦し続けた実在の人物・チャック・イェーガーサム・シェパード)のストイックな生き方を並行させて描く。


The Right Stuff (1983) Official Trailer - Ed Harris, Dennis Quaid Movie HD

上映時間3時間以上という、いまでは考えられないほど長尺であるが、それを感じさせない優れた映画。映画の完成度が高いというわけでもないが、実話の重みと宇宙開発という胸躍る題材のために飽きることなく見られる。下手に感動を要求しない演出も奏功している。

マーキュリー・セブンたちを演じる、エド・ハリスデニス・クエイド、スコット・グレンたちの俳優たちの個性溢れる演技も素晴らしいが、やはりマーキュリー計画が映像化されていることに惹きつけられる。とくにアメリカ初の宇宙飛行士を選抜するプロセスが興味深い。まあ宇宙飛行士と言ってもカプセルに乗せられて衛星軌道を周回するだけで「実験ねずみ」と言われてる存在。

それならば別にパイロットでなくてもいいんじゃないかという事もあったが、宇宙開発を世間にアピールするために見栄えのする人物が採用されて広告塔になっていく。また「実験ねずみ」の扱いにパイロットたちが反旗を翻すあたり面白い。マーキュリー計画などの背景知識があると、もっと楽しめるにちがいない。

ラストのひたすら上昇するチャック・イェーガーも圧巻。そして機体を失うも脱出して生還するところで長編映画の幕が閉じるのもよくできている。

全編とおして映画音楽のお手本のようなビル・コンティの音楽もすばらしい。余談だが確かフィギアスケートの浅田真央が『ライトスタッフ』のテーマを演技に使っていた記憶もある。


The Right Stuff Theme • Bill Conti

以前よりスクリーンで見たいと思っていた映画のひとつだったが、今回ようやく願いが叶った。とにかく一度スクリーンで見ておくべき映画である。長いけどね。

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