退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ガス人間第一号』(1960) / 悲恋を下敷きにした東宝特撮の秀作

新文芸坐のオールナイト「追悼・土屋嘉男 東宝特撮 ガス人間だ!宇宙人だ!これが土屋嘉男だ!」で、映画『ガス人間第一号』(1960年、監督:本多猪四郎) を鑑賞。土屋はガス人間・水野を演じている。追悼企画の最初に上映されるのにふさわしい代表作。

本当に久しぶりに鑑賞したので新鮮に見れた。記憶の一部が『美女と液体人間』(1958年)と混同していたことに途中で気づいたが、もうボケてきてるのかも……。

本作はガス人間を見事に映像化した当時の特撮技術も見どころだが、悲恋を下敷きにしたシナリオが秀逸で映画としての完成度は高い。銀行強盗を重ねるガス人間・水野(土屋嘉男)と日舞の家元・藤千代(八千草薫)との関係が明らかになるあたりはサスペンスとして面白い。

終盤、当局がガス人間を抹殺するために藤千代が踊る劇場に可燃性ガスをさせる。観客がいなくなった劇場で踊り続ける藤千代。そして藤千代がガスに火を付けて心中を遂げて自ら事態を収拾させる。生き残ったかに思われたガス人間が再生できずに気体が四散するシーンが泣ける。

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ロビーに展示されていた「ガス人間・水野」のフィギュア

この映画は八千草薫の美しさと日舞によるところが大きい。八千草の凛々しさに圧倒されるし、日舞にメッセージ性があるのもよい。特撮映画は女優が重要だということが確認できる。

余談だが、この映画はタイトルで損をしている気がする。もう少しなんとかならなかったのだろうか。


ガス人間第一号 予告編 東宝 HD版 1960.12.11公開