退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

昔からスゴかった文京区立図書館

雑誌「新潮45」(2017年9月)に福田和也の「私の独学事始め(後篇)」というエッセイが載っていた。

新潮45 2017年 09 月号

新潮45 2017年 09 月号

  • 発売日: 2017/08/18
  • メディア: 雑誌

そのなかに筆者が中学生の頃、文京区の小石川図書館でレコードを借りていたことが書かれていた。ミッシェル・ポルナレフのベスト盤を借りて聴いていたらしい。マセてるなあ。

そして「この図書館は当時も今も、都内の公共図書館の中ではレコード所蔵数がいちばん多く、洋楽ジャンルも充実している」と書いている。これを読んで、やっぱり昔からスゴかったのかと思った。

私はいくつかの公共図書館を利用しているが、たしかに文京区立図書館のCDのライブラリの充実ぶりは突出している。すべての公共図書館をチェックしたわけではないが、おそらく福田氏の書いたように都内随一であろう。趣味もよい。

CDなどの録音資料の所蔵具合は各公共図書館の方針が反映されていて興味深い。財政に余裕があるからといって、どこでもライブラリが充実してわけではないのである。上の文京区立図書館のように力を入れているところもあれば、どことは言わないが新しくCDを買うのを止めて録音資料を所蔵を放棄しているところもある。

また申し訳程度に新規購入をしているが、どうでもいいオムニバス盤などくだらないものばかりを購入して何を考えて選んでいるのか分からない図書館もある。その点においても文京区立図書館は目利きが関わっているのだろう、量と質の両面で他を圧倒していると言ってよい。とくに個人ではなかなか購入を躊躇するようなCD-BOXも意欲的に揃えているのがありがたい。

惜しむらくは区民以外の者にも広く門戸をひらいてた文京区立図書館も、今年度から「区民優先制度」が導入されて、区民以外の利用者には少し使いづらいなった。それでも私の区は隣接している自治体以外には貸出していないから、まだ寛容とも言える。これからお世話になるのでよろしくお願いします。