退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『野ゆき山ゆき海べゆき』(1986) / 鉄骨娘がかわいい

新文芸坐の《ワンダーランドの映画作家 大林宣彦映画祭2017》で映画『野ゆき山ゆき海辺ゆき』(1986年)を鑑賞。「質実黒白オリジナル版」「豪華総天然色普及版」の2種類のプリントで公開されたが、今回の上映は〈カラー版〉だった。本当は〈モノクロ版〉を見たかったのだが残念。

野ゆき山ゆき海辺ゆき DVD SPECIAL EDITION

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戦争の影が迫るなか、瀬戸内のある尋常小学校にひとりの転校生・栄(片桐順一郎)が、美しい姉・お昌ちゃん(鷲尾いさ子)に連れられてやってくる。同じ小学校に通う須藤総太郎(林泰文)は、お昌ちゃんに淡い恋心を抱くが、彼女には筏乗りの早見勇太(尾美としのり)という恋人がいた。少年たちが「わんぱく戦争」に興じているうちに、お昌ちゃんは親の都合で遊郭に売られることになる。それを聞いた少年たちは、大人相手に「「お昌ちゃん掠奪大作戦」を始めるが……。


1986年 『野ゆき山ゆき海べゆき』予告編

お昌ちゃんに魅力がなければ成立しない映画だが、鉄骨娘こと鷲尾いさ子がかわいく撮られているのが素晴らしい。しかしデカイ。衣装が寸足らずなので余計大きく見える。そのおかげで、かわしい少年である総太郎との身長差が際立って面白い画になっている。セリフが棒読みなのは演出であろうが、好みが分かれるかもしれない。

子どもたちの「わんぱく戦争」を本当の戦争に重ねる演出も面白い。あとはラストシーンが圧巻。

カラー版だったが、クライマックスでモノクロに変わる演出が実に効果的。失恋して逆上した青木中尉(佐藤浩市)が、駆け落ちしようする勇太をライフルで射殺し、お昌ちゃんが焼身自殺して舟が沈むあたりは大林ワールド全開。ああ映画を見たなという気分にさせてくれる。

またお宝映像としては、鷲尾いさ子がタライで行水している場面で脱いでいるのにも注目したい。美しいく撮れている。いまの女優はすっかり脱がなくなった。時代が変わったのだろうが、もったいないことだ。

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