退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】北尾トロ『欠歯生活 歯医者嫌いのインプラント放浪記』(文藝春秋、2017年)

十年前に治療したインプラントでトラブル発生。そこから筆者の長い長い悪夢のような治療の道程が始まった。

欠歯生活 歯医者嫌いのインプラント放浪記

欠歯生活 歯医者嫌いのインプラント放浪記

この本ほどでもないが私も歯医者にはお世話になっているので身近に感じられた。定期的に歯をチェックしてもらっているが、きちんと歯が磨けてないとひどく叱られる。全人格を否定されたように落ち込むのだが、この本を読むとやはり同じような人がいるんだなと少し安心できた。まあなんの解決にもなっていないが……。

歯医者に長く通っている人には、それぞれに「物語」があるだろうが、それをエッセイにまとめた本は初めて読んだ。さすがプロの文筆は読ませるなぁ。それでも読んで愉快になるような話題ではないが、参考になるところも多い。

この本で良いと思ったのは、筆者の体験談だけでなく専門家の話を紹介しているところ。なかでも、虫歯や歯周病になりやすい人とそうでない人がいるという話が興味深い。この本に登場する筆者の「ツマ」も「そうでない人」の属しているらしく、夫婦の対比がはっきりしているのが印象的だった。

また本を読んでいくと歯科の医療技術の進歩も実感できる。進歩に貢献しているエライ先生たちに感謝したい。ただし健保が適用されない治療の費用は財布を圧迫する。歯に問題を抱えていると生活の質が大きく損なわれる。バカ高い保険料払っているだから、もう少し保険でカバーされるようにならないものかしらん。たのみます。

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