退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『宣戦布告』(2002) / もし北朝鮮工作員が日本に上陸したら……

映画『宣戦布告』(2002年、監督:石侍露堂)を鑑賞する。麻生幾の同名小説の映画化作品。決してメジャーな作品ではないが、いま見ておくべき映画かもしれない。

敦賀半島に潜水艦が座礁し、重武装した11人の北朝鮮工作員(映画では北東人民共和国とぼかしている)が上陸する。この事態に対応する、政治家たちの狼狽ぶりや、法整備や命令体系の不備などのため実力を発揮できずに倒れていく警察や自衛隊が描かれる。

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この事態に警察SAT部隊や陸上自衛隊が投入されるも、わずか11人の工作員を制圧できない。隊員たちが無能だからではなく、法制度や指揮系統の不備のため発砲許可や武器使用許可を求めて、もたまたしている間に次々に敵に撃破されていくためである。いずれにしてもこの映画のなかの自衛隊は弱すぎる。

政治家たちも政局を優先してなかなか自衛隊出動を決断できない。民間人に被害が出てようやく自衛隊出動を決断するが完全に機を逸している。自衛隊出動についての政治家や官僚が右往左往するあたりは、映画『シン・ゴジラ』(2016年)を先取りしているともいえる。怪獣相手だから仕方ないかなと思ったが、北朝鮮相手には大丈夫だろうなと念を押したくなる。

ここで出演者を見ておこう。首相は古谷一行が演じている。最初、混浴露天風呂に行きそうで大丈夫かと思ったが、中盤になると貫禄が出てきて、らしく見えるのはさすがベテランというべきか。この首相を支える内閣総理大臣首席秘書官杉本哲太が扮しているが、まるでキャリア官僚には見えない……。これでよかったのか。

話を工作員の制圧に戻すと、陸自はついにレンジャー部隊を投入し、使用武器も手榴弾重機関銃迫撃砲などと次第にエスカレートしていく。最後は戦闘ヘリからのバルカン砲掃射で決着を見る。オーバーキル。

この映画では自衛隊が役立たずに描かれているためか、防衛庁(当時)や自衛隊の協力が得られなかったという。そのわりには戦闘シーンはがんばっている。一見サバイバルゲームのようでもあるが、なかなか見ごたえがある。

最近の北朝鮮のミサイル発射を受けて、この映画はタイムリーな内容になっている。いまの政府は、まさかこの映画のように無能だとは思いたくはないが、日本の安全保障を考えるうえで一度は見ておくといいだろう。エンターテイメント性も高い。

本作は政治劇と戦闘シーンがメインだが、ハニートラップで官僚から北朝鮮に情報漏洩する場面があり、白島靖代のお色気シーンが少しだけ見られる。彼女の芸能活動の末期に近い作品なのでファンは必見かもしれない。

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