退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

まさかの豊洲・築地併用案!? これでいいのか?

小池百合子都知事は20日、記者会見を行い豊洲市場移転問題に対して、豊洲に市場機能を移転させた上で築地市場を再開発するという「奇策」とも思える基本方針を発表した。


【ノーカット】小池百合子東京都知事:豊洲移転を正式表明 6月20日

都知事は「築地は守る、豊洲は活かす」というスローガンを掲げ、「築地ブランドを維持、活用すべきだ」などと理由を説明した。記者会見の文字起こしはこちら。

具体的には、まず豊洲に中央卸売市場の機能を移した上で、築地市場を更地にして東京五輪のための道路やバスターミナルの整備を行う。五輪後の築地市場はいまから5年後をめどに「食のテーマパーク」をつくり、豊洲に移転した仲卸業者のなかで希望者は築地にも戻ってもいい、ということらしい。

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まず驚いたのは築地市場跡地を売却[しないという点だ。当初の計画では、築地市場跡地の売却益を豊洲市場の事業費に充当することになっていた。しかし売却せずに築地市場を再開発して採算は合うのだろうか。今回の記者会見では具体的に試算は示されなかったが、計画は破綻いたら都の一般会計から補填することになり都民が負担することになるのはいうまでもない。

次に都知事がこれまで強調してきた「安全・安心」の問題はは、どうなったのだろう。そもそも豊洲市場の最新の施設の方が、老朽化した築地市場より衛生的であることは疑いがないのにこれまで移転を延長してきた理由が分からないし、今回の案で少し手を加えれば移転可能にした理由も分からない。

結局、科学的に議論ではなく都知事の政治的思惑に振り回されたにすぎない。当初の計画であれば昨年11月に移転する予定であり、いまごろは何ごともなかったように安定稼働したはずだ。移転を延長したことにより生じた、豊洲市場の維持費、業者への補償金など、都民は膨大な額の負担を強いられている。

今回の記者会見のタイミングも都議選を見据えての政治的パフォーマンスであり、実は具体的には何も決まっていないし、会見でも最終的な判断は都議会だとうそぶいていた。

この市場移転問題ひとつをとっても小池都知事の十八番の劇場型政治にはうんざりする。5年後の築地市場再開発の場にも、国政に未練のある小池都知事はすでにいないではないかとも噂される。

とにかく、これ以上都政をかき混ぜて混乱させるのだけはやめてほしい。

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