退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『キングコング: 髑髏島の巨神』(2017) / レジェンダリー・ピクチャーズのモンスターバースシリーズ第2作

目黒シネマで映画『キングコング: 髑髏島の巨神』(2017年、監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ)を鑑賞。レジェンダリー・ピクチャーズ製作のモンスターバースシリーズの第2作。『GODZILLA ゴジラ』(2014年)と世界観がクロスオーバーする作品で、2020年にはGodzilla vs. Kongの公開が予定されている。

冒頭、太平洋戦争中に空戦である島に墜落した米軍パイロットは、同じく墜落した日本兵と島で戦い命を落としそうになるが、そのときキングコングが姿を現す。

そして1973年、米軍がベトナム戦争から撤退した日に、特務研究機関モナークの一員であるランダ(ジョン・グッドマン)は上院議員を説き伏せ、未知の島・髑髏島(Skull Island)の調査に向かうべく護衛の部隊を要請する。調査隊は、パッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)が率いるヘリコプター部隊に同乗して島に向かい、調査のためサイズミック爆弾を次々に投下する。

そこに怒り狂ったキングコングが出現して大暴れ。ヘリコプター部隊を全滅させる。そこは特殊な環境のため、独自の進化を遂げた巨大生物が多数生息する孤島だった。調査隊は四散し、それぞれが脱出のために合流地点を目指すことになる。と、こんな話。


Kong: Skull Island - Rise of the King [Official Final Trailer]

まずこれまでつくられた映画で最大だというキングコングの巨体に驚く。これが大きなスクリーンのなかを二足歩行で機敏に動き回るのは映像的に見ごたえたある。

一方で人間ドラマは希薄。アクションシーンの連続は息をもつかせないが、ドラマとしてはやや物足りない気もする。唯一、ベトナム戦争を勝てず部下を失ったパッカード大佐のキングコングに対する敵意をむき出しにして一人気を吐いていた。またコングガールと言っていいのか分からないが、カメラマンのウィーバーブリー・ラーソン)が水中に落ちて、キングコングが手で救い上げるシーンが人間との交流を感じさせていいシーンだった。彼女がグラマーだったのも加点したい。

キングコング:髑髏島の巨神(字幕版)

この映画はベトナム戦争の時代の戦争映画である同時に、もちろん怪獣映画でもある。とくにベトナム戦争の時代を選んだのは成功している。島で夕陽のなかを編隊を組んで飛ぶヘリコプター部隊の姿が映えていたのが印象的。シリーズの時系列では『GODZILLA ゴジラ』(2014年)の前段という位置づけになるだろうか。

ラストに冒頭の米軍パイロット(ジョン・C・ライリー)が家族のもとに帰り、息子と対面するシーンは、戦いを終えることができなかったパッカード大佐との対比としても粋な演出だった。

エンドクレジット後に今後のシリーズ展開を示唆するようなシーンがあるのでお見逃しなく。本作はシリーズの一部ということもあり、キングコングが島から出て都市に登場することがないのはやや不満。キングコングというのは、野生の世界から人間の世界へ移ったときに神でなくなるところが肝だろう。それがなかったのはシリーズ化の弊害にも思える。

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余談だが、併映は『シン・ゴジラ』(2016年)というナイスな2本立てだった。決して上映環境としては褒められない目黒シネマであるが、今後も尖ったプログラムで攻めてほしい。応援しています。

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