退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「共謀罪」法が成立 参院本会議で採決強行

今期国会最大の懸案とされていた、犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、15日朝、参院本会議で成立した。

昨夜ネット中継で参院本会議の中継を見ていてそのまま寝たが、翌朝起きてもまだ終わってなかったので驚いた。成立したのは朝の7時半過ぎだったろうか。みなさん大した体力だと感心した。このエネルギーを他の場面で有効に使ってほしいものである。

今回とくに驚いたのは、会期末(18日)が迫るなか法務委員会の審議を打ち切って、本会議を採決を強行したことでだ。これは国会法に定められている「中間報告」の手続きを使ったものだが、いかにも強引なやり口でここまでやるのかと呆れた。

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しかし本会議の採決の結果は、投票総数235票のうち、賛成が165票、反対が70票というダブルスコアを越える与党の圧勝である。これだけ国会内の勢力に差があるのだから、与党は余裕をみせて会期を延長しても委員会で堂々と審議を尽くし、国民に説明責任を果たしてほしかった。よほど延長したくない事情があるのだろう。

実際、「共謀罪」がなぜ新たに必要なのか、本当に既存の法律でカバーできないのか、また「共謀罪」がテロ防止にどの程度有効なのか十分に説明されていない。「一般人」は対象外というが、何をもって「一般人」とするのかも不明である。他にも専門家から様々な問題が指摘されている。

また法案の内容以前に所管大臣である金田勝年法務大臣の答弁がひどかったので、まともな議論が国会でできなかったという面もある。センシティブな法案を審議するにあたり、あえて金田法相を任命したのか謎すぎる。この人事は十分な議論を避けるための「高等戦術」だったとすれば別の意味ですごいのだが……。

ここまで与党が強気の国会運営ができるのも、この程度では政権は小揺るぎもしないという自信の表れなのであろう。「安倍一強」時代を象徴するような出来事だったが、後にこの法律が日本に禍根を残すことないことを祈るだけである。

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