退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

テレビドラマ「モリのアサガオ」で死刑制度を考えてみよう

テレビドラマ「モリのアサガオ」を鑑賞。2010年にテレビ東京で放送されていたテレビドラマ。原作は郷田マモラのコミック。主演は伊藤淳史。「死刑制度」に光をあてた社会派ドラマ。

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新人刑務官・及川直樹(伊藤淳史)が配属されたのは拘置所の死刑囚舎房。さまざまな死刑囚と接するなかで激しく揺れ動く直樹の心を描く。そんななか直樹の少年時代のヒーローだった渡瀬満(ARATA)が死刑囚として拘置所に移送されてくる。刑務官と死刑囚との友情を通して死刑制度の是非を観客に問いかけると同時に、直樹の成長単でもある。

いくらなんでも刑務官が個々の死刑囚の事情に立ち入りすぎだろうとも思うが、ドラマだから死刑囚と絡まないとどうしようもないのだろう。次々にベテラン俳優が演じる死刑囚の刑が執行されていく流れと、主人公・直樹の生い立ちや死刑囚・渡瀬との友情に関わるドラマを交差させていく脚本はなかなかよくできている。

主演の伊藤淳史も誠実な刑務官をよく演じている。これはキャスティングの妙だろう。また柄本明温水洋一中村獅童らの死刑囚を演じる俳優陣もなかなか豪華。とくに柄本明は直樹の生い立ちに関係する重要な役で、数十年前を回想するシーンでも若者時代を自ら演じている。熱演なのだが若作りがちょっと面白い。

女優陣ではゲスト出演だが死刑囚と獄中結婚する釈由美子が実に美しい。必見。また直樹の同僚で彼に思いを寄せる刑務官役をブレイク前の木南晴夏が演じているのも注目だ。劇中でふたりの交際があまり描かれなかったのは残念。

ドラマは、直樹が渡瀬の死刑を執行することでクライマックスを迎える。直樹の言動は一貫性がなくて混乱しているように思えたが、揺れ動く心情を表現してものと捉えるべきだろうか。


Mori no Asagao - Live action trailer [JP]

先進国で実質的に死刑がある国は日本とアメリカ(一部の州)だけだと言われる。このドラマで描かれるのは死刑制度のほんの一面だろうが、一度は見る価値はあるだろう。よくできたテレビドラマとしてもオススメできる。