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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『地獄の黙示録 劇場公開版』(1979) / 戦後アメリカ映画の金字塔!?

早稲田松竹で映画『地獄の黙示録』(1979年、監督:フランシス・フォード・コッポラ)を鑑賞。2001年に監督自身が再編集した『特別完全版』が公開されているが、今回の上映は「劇場公開版」で、デジタル・リマスターされたDCPによる上映。

いまさら何も言うことがないマスターピースとされているが、今回見ても前半はすごくいいが、後半はいまもって「なるほどわからん」と思ったのも事実。

ベトナム戦争後期、元グリーンベレー隊長のカーツ大佐(マーロン・ブランド)が命令を無視したカンボジアに独立王国をつくる。そんな彼を暗殺するためにウィラード大尉(マーティン・シーン)がカーツの王国に向かう。王国に侵入したウィラードは、カーツの思想に触れて激しく動揺するが水牛を生贄にする祭事の夜に暗殺を成し遂げる。

昔見たヴァージョンでは、暗殺後カーツの王国が爆撃されるシーンがあったはずだが、コッポラの意向により削られたとのこと。そのためカーツの意図がどのあたりにあったのかが分かりにくくなっている。観客にボールを預けられた格好。

それでも前半部のウィラードが大河を遡行したカーツに王国に辿り着くまでの映像美は素晴らしい。とくにキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)率いる部隊がワーグナーの「ワルキューレの騎行」をオープンリールで鳴らしながらベトナムの村落を襲撃するシーンは圧巻。外人の観客はコーフンしてスマホでスクリーン撮影していたがいいのか……。

またサーフィンするために村落をナパームで焼き払う描写に至っては、いかにベトナム戦争がいい加減だったのかを示している。指揮官のモラルハザードも来るところまできている。

ベトナム戦争を痛烈に批判した本作はアメリカ映画の金字塔とされている。しかし映画とは関係なくアメリカ人は全く反省することなく、以後も世界中で戦争を繰り返しているのはどうしたことだろう。そんなことを思いながら映画館を後にした。


『地獄の黙示録 劇場公開版』 予告編

余談だが、映画を見たあとでAbemaTV で『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』というアニメを見ていたら、自衛隊のヘリ部隊が敵を急襲するシーンで「ワルキューレの騎行」が流されていた。キルゴア中佐の真似するとか悪のりが過ぎるだろう。簡単に『地獄の黙示録』を引用していいものだろうか。まあアニメ脳だから仕方ないか……。

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