退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

テレビ時代劇『忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣〜』を見終わりました

昨年の9月からNHK総合土曜時代劇」で放送されていた『忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣〜』(全20話)を見終わりました。

原作は諸田玲子歴史小説『四十八人目の忠臣』です。主演は時代劇初挑戦の武井咲。タイトルから想像できるように、女性の主人公が赤穂事件に巻き込まれ浪士たちの討ち入りを助けるべき活躍する話です。でもそれだけでなく大願成就したあとも話が続いて、そのストーリーの意外性にびっきりしまいた。

赤穂藩浅野家の江戸屋敷に阿久里(田中麗奈)の侍女として使える、きよ(武井咲)は藩主の小姓の磯貝十郎左衛門福士誠治)と恋仲になる。そのう藩主・長矩(今井翼)が殿中で吉良上野介伊武雅刀)に切りつけ刃傷沙汰を起こす。長矩は即日切腹、浅野家は取り潰される。

その後、きよは女スパイさならがに吉良邸に女中に上がり、吉良上野介の妻・富子(風吹ジュン)に仕える。「48人目の忠臣」として情報収集に務めるが、仲睦まじい吉良夫婦の様子を見て自分のやっていることに迷いが生じる。

そうしているうちに吉良邸への討ち入りが決行される。女の身のきよは当然参加できないが、吉良邸の塀の外で成功を祈るなか邸内から音だけが聞こえてくるとい演習。忠臣蔵がテーマだが討ち入りの戦闘シーンはが描かれない。浪士たちは本懐を遂げるが、きよにとってはそれは恋する十郎左衛門との別れでもあった。

ドラマは浪士たちが切腹して〈完〉かと思ったが、まだ回数が残っている。残りで何をやるのかと思ったが、ここからの意外な展開が面白い。

きよは新たに甲府宰相・徳川綱豊屋敷に奉公に上がり、綱豊公(平山浩行)のお手つきになり、側室になる。綱吉が没すると第6代将軍・徳川家宣として将軍となる。その年にきよは男子(のちの徳川家継)を出産して褒美として浅野家再興を願い叶えられる。しばらくして家宣は病没し、わずか三歳の家継が将軍職を継ぐことになり、左京の方(きよ〉はついに将軍の生母に上り詰めるが、2度目の人生が終ったことを悟る。ラストにきよが、ドラマで一貫してキーアイテムになっていた琴を奏でるシーンがよかった。

綱豊公のお手がつくあたりは、とびきりの美人でなければ説得力がないだろうが、今風の顔立ちだが武井咲ならば納得できる。忠臣蔵から大奥にまでストーリーが飛躍するところが意外性があった面白かった。大奥編はやや駆け足だったが、これが大河ドラマでもよかったかもしれない。