新文芸坐の《クラシック映画特集》で映画『ラストエンペラー』(1987年、監督:ベルナルド・ベルトルッチ)をひさしぶりに鑑賞。清朝最後の皇帝・溥儀の波乱に満ちた生涯を壮大なスケールで描く歴史超大作。ジョン・ローン主演。
ラストエンペラー コレクターズ・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]
- 発売日: 2012/11/02
- メディア: Blu-ray
若い頃見たときより、歳を重ねたせいか心に響くものがあった。ままならない人生に悩む主人公に共感できるようになったためだろうか。同じ映画でも年を経て再び見ると違った思いで見ることができるかもしれない。
見どころはやはり紫禁城ロケのシーン。即位式や輿入れの儀の映像はいまみても圧巻。いまではCGで簡単に作れそうにも思えるが、多くのエキストラが投入された当時の映像はCGとはちがう(ような気がする)。大きなスクリーンで見るべき大作映画。
このほかには満州国の描写も興味深い。どのくらい史実に即して再現されたのかわからないが、日本の傀儡国家だった満州国の空疎な雰囲気がよく表現されている。満州国における日本側の事実上の責任者として甘粕正彦(坂本龍一)が登場。教授が二枚目なのに驚いたが、演技はこれで本当によかったのかと小一時間……。
この映画は西太后が溥儀を次期皇帝に指名するところから始まるが、西太后が登場するなら袁世凱や昭和天皇も見たかった。とくに溥儀は何度か日本を訪れているので、映画でも当時の日本のシーンがほしいと感じた。溥儀の見た日本を知りたい。いまでも長尺の作品なのでそれは難しいかったのだろうが、日本人としては惜しまれる。