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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『あゝ決戦航空隊』(1974) / 神風特攻隊の創始者・大西瀧治郎の生涯を描いた「実録・太平洋戦争」

映画

DVDで映画『あゝ決戦航空隊』(1974年、監督:山下耕作 ) を鑑賞。神風特攻隊の創始者である大西瀧治郎中将を通して大戦末期を描く。予告編に「実録・太平洋戦争」というキャッチコピーがあったが、東映の実録路線のノリでつくられた戦争映画である。主演は鶴田浩二

あゝ決戦航空隊 [DVD]

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とにかく長い。上映時間199分で途中に休憩がある長編映画。大西中将の他にも、太平洋戦争の戦局から終戦への流れ、市民生活の様子、特攻隊員などが描かれるが、これだけ大風呂敷を広げれば長くなるのは当然。さらに東映オールキャストが出演しているので、それぞれに見せ場をつくるから映画がどんどん散漫になる。

その顕著な例は、小園安名(菅原文太)の厚木航空隊事件のエピソード。小園が病院の屋上で天皇批判するシーンがあるが映画の流れからすればまったくの蛇足。映画で天皇批判して話題作りしたいだけじゃないのかと思わせる。とにかく余計な話が多すぎる。

それでも特攻がどのような経緯で誕生したかはよくわかる。「捷一号作戦」を成功させるために一時的にでも米空母を無力化するという戦術的な要請により、司令官として苦渋の選択として特攻が生まれた様子が描かれている。

米軍にとっても想定外だった攻撃は十分な戦果を上げるが、これがまったく活かされず作戦は失敗。日本海軍は敗退する。これだけで日本軍ダメだなと思わせる。それでも特攻の戦果だけが強調され、これ以降特攻作戦が繰り返されることになる。

大西中将は、岡本喜八監督の映画『日本のいちばん長い日』(1967年)にも登場して、「あと二千万、あと二千万日本男子を特攻に出せば必ず勝てます」と東郷外相に詰め寄る有名なシーンがある。とんでもないやつがいたものだと呆れて見た記憶がある。岡本監督の戦争観がよく出ているシーンである。これほどではないが、本作でも終盤では特攻作戦による本土決戦を執拗に主張する大西の姿が描かれている。

当初は特攻作戦に対して葛藤があったのに、なぜこれほどに変貌してしまったのかという経緯がよくわからなかったのが不満。もう少し大西の内面の丁寧に描いてこの疑問を晴らしてほしかった。

ラストは時系列を前後させての大西中将の自決シーンである。DVDのジャケットでは軍服を着ているが、映画本編ではさすがに先に軍服は脱いで切腹している。切腹シーンに大西の遺書が重ねられるが、これぞ「実録・太平洋戦争」という陳腐な演出。なんか違うんじゃないかなぁと思うったのは私だけだろうか。


あゝ決戦航空隊(予告編)