退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

コミック「昭和元禄落語心中」読了

先日、雲田はるこのコミック『昭和元禄落語心中』(全10巻)を読了。読書ノートによれば作品を読み始めたのは、2014年秋だったので随分と長い付き合いになった。

昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

BLジャンルでデビューした作家ということをもあり、どのような方向で長編マンガのオチを付けるのか気になっていたが、大団円で終わるのも一般向け作品としては無難なところか。世代を超えて落語が継承されていくのも落語愛に溢れていてよかった。八雲師匠の死の描写も迫力があった。

ストーリー上では、最終巻で与太郎と小夏の息子・信之助の生物学上の父親が誰かが明らかになるところが注目ポイントだろう。賛否の分かれそうだが、個人的には納得のエンディングだった。

技法的には落語を漫画でどう表現するのかにも注目していた。ピアノ演奏など音楽に比べると言葉があるだけ絵になるように思えたが苦労も多かったろう。

この作品はアニメ化され今シーズンも第2期「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」が放映されていて、声優さんが力量が試される作品になっている。漫画は声がない分、落語パートで読者をつなぎとめるのはより難しそうだが、読者の評価はどうなのか気になるところである。

この作品をきっかけに落語に興味をもった読者がいれば、作品としては大成功ではないだろうか。

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