退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ああ爆弾』(1964) / 鬼才・岡本喜八監督の才気が光る謎のミュージカル映画

新文芸坐の《新文芸坐セレクションVol.3 絶対に観てほしい喜劇〈コメディ〉初笑い29本》で映画『ああ爆弾』(1964年、監督:岡本喜八)を鑑賞。白黒映画。

へんな映画でした。たしかに俳優が音楽に合わせて芝居をするのですが、これをいわゆるミュージカル映画と言ってよいのかどうか……。狂言からジャズまで多彩な音楽とともに芝居が進行します。コメディにはちがいありませんが、初笑いというにはややシニカルな笑いでした。

海外の小説が下敷きになっているようですが、こんな映画になるとは原作者もびっくりでしょう。

ヤクザの組長の大名大作(伊藤雄之助)が3年ぶりに出所すると、組は矢東彌三郎(中谷一郎)の取っとられていた。大名は、刑務所で知り合った爆弾作りの名人・田ノ上太郎(砂塚秀夫)とともに「万年筆型爆弾」で矢東の命を狙うという話。

ずばりカルト映画。いま見てもかなりへんな映画なので、公開当時はなおさらだったしょう。岡本喜八の野心喜劇。伊藤雄之助の芝居も堪能できます。へんな映画を見たい人にオススメします。

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