退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『セルフレス/覚醒した記憶』(2015) / 余命わずかな大富豪が若者の肉体を手に入れるSFサスペンス

新文芸坐の年末恒例企画《シネマ・カーテンコール 2016》で、映画『セルフレス/覚醒した記憶』(2015年、監督:ターセム・シン)を鑑賞。『ハイ・ライズ』が目当てだったので併映の本作は期待せずに観たが意外な拾い物だった。二本立てはこういうことがあるから面白い。

ポスター/スチール 写真 A4 パターン5 セルフレス/覚醒した記憶 光沢プリント

ガンで余命わずかの大富豪ダミアン・ヘイル(ベン・キングズレー)は、謎の組織と契約し若い肉体を手に入れる。別の人間として生まれ変わったダミアン・ヘイル(ライアン・レイノルズ)は新しい人生を謳歌するが、この肉体はラボで造られたクローンではなく、他人が娘を助けるために組織に売った肉体だった。真実を知ったダミアンは悩んだ末にある決断をする。


Self/less Official Trailer #1 (2015) - Ryan Reynolds, Ben Kingsley Sci-Fi Thriller HD

「精神」を「肉体」に移植するのはSFの定番であるが、肉体の元の持ち主の記憶が意識のなかに蘇り、それを抑制するには組織が提供する特別な薬を服用しなければならないという設定は面白い。しかも肉体の元の持ち主は軍事訓練を受けたソルジャー。謎の組織への反撃する際のアクションシーンも迫力があった。

またふたりのダミアンにはそれぞれ娘がいて、父親の娘への愛情が重ねて描かれるシナリオはよくできている。大枚叩いて手に入れた肉体は結局は無駄になる。しかしわずかの期間だが延命し娘との絆を取り戻すことができたのだから、それほど悪い買い物ではなかったではないか。