退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『黒衣の刺客』(2015) / アートフィルム系の武侠映画

新文芸坐の《輝き続ける、台湾ニューシネマの魅力》で映画『黒衣の刺客』(2015年、監督:ホウ・シャオシェン)を鑑賞。

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8世紀後半の唐。13年前に女道士に預けられたインニャン(スー・チー)が両親のもとに戻ってくるが、彼女は凄腕の暗殺者に育てられいた。標的はかつての許嫁ティエン・ジィアン(チャン・チェン)。任務と情愛の狭間に葛藤するヒロインを描く。

予告編を見て以前より見たかった映画だったが、予想していたものとかなり違っていた。もっとアクションが前面に出ているかと思って見たが、どちらかと言うとアートフィルム系の作品だった。ストーリーは起伏に乏しくクライマックスもなく淡々と流れていく。

それでも数少ないアクション・シーンはしっかり作り込まれているのは救い。願わくば暗殺者として養成されるヒロインの少女期のシーンも見たかった。

全編を通して映像は美しいので映画館で見る価値はあると思うが、画角が次々に切り替わるのは見ていて落ち着かない。どういう意味があったのかいまだに謎である。

この映画は、ヒロインを演じたスー・チーが激しい感情を抑えた寡黙な演技で新境地を見せていると評される。なるほどとも思ったが、私はこの映画を見て北川景子主演の映画『花のあと』(2010年)を思い出した。クールビューティーが剣を持ち、愛に悩むという点で共通点があるように思えた。

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この映画は言わば中国の時代劇なので、時代背景をある程度知っていることを前提にしているように思う。唐代は府兵制だったか? いつ藩鎮が置かれのか? 黄巣の乱はいつだったか? などなど、ついつい世界史で習ったことを思い出そうしたが、悲しいかなほとんど覚えていない。外国人が日本の時代劇を見るときは、こうした思いを抱くにちがいない。


『黒衣の刺客』予告編60秒 2015年9月12日公開