退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】石井貴士『キンドル・アンリミテッドの衝撃』(講談社、2016年)

キンドル・アンリミテッド」(Kindle Unlimited)とは、月額980円でコミックやビジネス書、小説などの電子書籍が読み放題になるというAmazonが2016年8月に始めたサービス。このサービスが出版業界や社会に与える影響について知りたいと思い本書を手に取った。

たしかに読み始めると「衝撃」が走った。思っていた内容とまるで違っていたからだ。読み進めて行くと、読者にキンドル・アンリミテッドでの電子書籍の配信を勧めているではないか。ビックリ!

たしかにサブタイトルには、「読み放題サービスの出現で、出版社・企業・個人の稼ぎ方はこう変わる! 」とあるが……。

月1万円稼ぐ電子書籍を50冊書けば月50万円になるという。たしかにそうだが、「お、おう」としか言えない。しかも電子書籍への参入は2018年10月までがベストだそうだ。電子書籍単独で収益を確保するのではなく、いろいろはビジネスモデルを提示しているのがミソだ。

筆者の見立てによれば、電子書籍の導入期は、2018年10月まで。その後、成長期に突入し、2021年にさらなる上昇期に突入するとのこと。さらに大手出版社の抵抗も2021年10月あでに終わると予測している。ただし客観的な根拠は示されていないので眉唾ものだが、いずれこの予測の正否が分かるだろう。

この本が出版されて以後になるが、サービス開始してまもなくキンドル・アンリミテッドが炎上した。講談社が、キンドル・アンリミテッドで配信していた1000タイトル以上の書籍や雑誌すべてが一方的に削除されたことを発表したのである。日本での定着にはもう少し時間がかかりそうである。

上記の予測が妥当なのかは分からないが、ページビュー数で収益が決まるというキンドル・アンリミテッドを紹介する本に相応しく、非常に読みやすくどんどんページが進むのはさすが。この点においては「本の内容も少しは信用できるかも」と思わされた。

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