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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『零戦燃ゆ』(1984) / ノンフィクションと青春映画の両立

映画

DVDで映画『零戦燃ゆ』(1984年、監督:舛田利雄)を鑑賞。東宝「8.15」シリーズのひとつ。原作は柳田邦男のノンフィクションであるが、映画化にあたり3人の若者を登場させて青春映画のテイストが追加されている。興行を考えてのことだろう。

太平洋戦争を舞台に零戦の誕生から終戦までを追っていく。登場当初は無敵とされた零戦がアメリカに弱点を研究され、ライバル機が次々に登場すると次第に劣勢に置かれている過程が時系列に沿って提示される。

加えて、零戦パイロット(堤大二郎)と整備兵(橋爪淳)との友情、そしてヒロイン(早見優)をめぐる三角関係など若者の青春がさわやかに描かれ、往時の日活映画を彷彿させられる。この盛りだくさんの脚本をまとめ上げたのは、笠原和夫の力量によるものだろう。

ちょっとすごいと思ったのは早見優が空襲の犠牲になるシーン。爆弾が炸裂するなかを走らされていてアイドルなのによくやるなと思った。

また特撮ファンとしては、特技監督川北紘一の手による特撮にも注目したい。デジタル技術の進歩により、もはやこうした技法で映画が撮られることはないだろうが、東宝特撮の到達点ともいっても過言ではない映像は一見の価値がある。とくに零戦で米爆撃機B29を撃墜するシーンは必見。

DVDのパッケージには加山雄三が大きく載っている。本作では加山は零戦開発の海軍側主務者で、零戦のテスト飛行中の事故で殉職する海軍大尉を演じている。重要な役ではあるが、決して主役ではないのでパッケージのデザインは納得いかない。まあ東宝の顔ということだろうか。

DVDには舛田利雄監督のオーディオコメンタリーの音声が収録されていた。アレとかコレとかを連発してよく分からなかったり、終盤は疲れたのか無口になったりしているが、いろいろと発見があって楽しめた。願わくは川北紘一氏も同席してもらい特撮の話も聞きたかった。