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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『サウダーヂ』(2011) / 閉塞感に満ちた地方都市のうごめきを描く

シネマヴェーラ渋谷の《日本映画の現在》で、映画『サウダーヂ』(2011年、監督:富田克也)を鑑賞。いつも二本立上映だが、この企画では入れ替え制でやや割高感あり。しかもロビーには資料展示がなく普段とは違った雰囲気だった。

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以前よりこの映画の評判を聞いて見たいと思っていたが、監督の意向によりパッケージメディアの発売がない。見たいなら映画館で見るしかないという今どきレアな幻の映画。ついにタイミングが合って見ることができた。

不況に苦しむ甲府市が舞台。シャッター通り、ゴーストタウン、土方、移民、HIPHOPを通して「地方都市のリアル」を赤裸々に描く群像劇。上映時間167分と長尺だったが長さを感じさせない。

いままで見たことのない映画。あえて言えば『SR サイタマノラッパー』(2009年、監督:入江悠)を思い出したが、これは個人に注目して曲がりにも一縷の希望を感じさせる作品だったが、本作は閉塞感が漂うなか、ラストではミス・コミュニケーションのため「ある事件」が起こり救いようのない結末を迎える。重たいラストで希望を見いだせない。

東京に暮らす私にとって、この映画で描かれている地方都市にどれほどのリアリティがあるのか正直実感を持てない。ホリエモン流に言えば、「東京に来ないのはバカ」ということになろうか。

東京との対比という点では、東京から出戻った女性が印象に残った。東京で何が何があったは明らかにされないが、頭が悪そうな娘だったので仕方ないかもとも思った。東京に行きさえすれば、だれでも成功できるわけではないのは自明ということか。

まあ「東京 vs. 地方都市」という二項対立で捉えるのも単純すぎるかもしれない。地方都市でも成功して充実しているクラスタはいるだろうし、東京でも貧困に苦しむ若者が多く見受けられるのは周知のとおり。いろいろ考えさせられるが、答えなど簡単に見つかるわけもない。


映画『サウダーヂ』 予告編

本作は群像劇なのでエピソードが多く、もう一度じっくり見たいと思う場面も多々あったのだが、DVDが発売されていないのはつくづく残念。

余談だが、エンドロールにインド舞踊(何というのだろう?)の映像が使われていたが、映画鑑賞中にラストはそうじゃないかと思ったいたのが予想的中して少し嬉しかった。あと宮台真司氏があやしい政治家役で出演しているのも見逃せない。先生、何やってるんですか?

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