退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『大殺陣』(1964) / 甲府宰相怪死事件を題材をとった「集団抗争時代劇」

新文芸坐セレクション 絶対に観てほしい時代劇 新文芸坐が自信を持ってお贈りする問答無用の20本!》で、映画『大殺陣(だいさつじん)』(1964年、監督:工藤栄一)を鑑賞。映画『十三人の刺客』(1963年)で確立された「集団抗争時代劇」という新ジャンルの一作。白黒映画。

4代将軍・徳川家綱の治世。大老酒井忠清(大友柳太朗)は家綱の弟である甲府宰相・綱重(可知靖之)を将軍の後継に擁立し、天下を我が物にしようと企む。その野望を阻もうと軍学者山鹿素行(安部徹)はテロリスト一党を組織して、家綱の暗殺を図る。

首謀者の山鹿素行を後年ヤクザ役として名を成した安部徹が演じているのがなかなか面白い。山鹿一党には、里見浩太朗大坂志郎らがキャスティングされているほか、公儀に追われた里見浩太朗をかくまう世捨て人のような旗本に平幹二朗が配されていてラストに重要な役割を果たす。

映画のポスターには「クライマックス35分間の皆殺しシーン」とあったが、たしかに大掃除の日の吉原を舞台にした大立ち回りは迫力満点で、他の映画ではなかなか見れない映像である。フライヤーには60年安保闘争の影響があったと記載されていたが、そうした時代背景が感じられる映像である。

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しかし、そこに至るまでのストーリーは分かりにくい。上映後ロビーに掲示されていた資料を読んでいた、おじさんも「これを読まないとわからん」と言っていたので、私だけではなさそうだ。

そうは言うが時代劇ファンなら一度は観ておくべき作品のひとつであろう。

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