退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『忍者武芸帖 百地三太夫』(1980) / 真田広之の初主演映画

シネマヴェーラ渋谷の《鈴木則文復活祭》で映画『忍者武芸帖 百地三太夫』(1980年、監督:鈴木則文)を鑑賞。ジャパンアクションクラブ(JAC)総出演の時代劇アクション映画。

戦国時代、豊臣秀吉小池朝雄)は隠し金山を手中に収めるため不知火将監(千葉真一)に伊賀討伐を命じる。将監により百地三太夫の一族は滅ぼされるが、三太夫の息子・鷹丸(真田広之)はかろうじて難を逃れ明に渡る。10年後、明で中国拳法を会得した鷹丸は帰国して、将監への復讐を果たすため奔走する。

こんなストーリーだが、戦いのなか登場人物が見え場のあとに次々に死んでいくパターンが延々と繰り返されて冗長。個々のアクションシーンはなるほど見応えがあるのだが、映画としての完成度には疑問が残る。音楽がかなりおかしいことも指摘しておきたい。

そうは言ってもアクション映画としては、千葉真一をアクション監督に迎えてJACが頑張っているので、アクションシーンだけでもスクリーンで見る価値はある。とくにラストの千葉真一真田広之の師弟対決は必見。

また今回の併映作品の『聖獣学園』は多岐川裕美のカラダが見どころだったが、本作では真田広之のカラダが見どころ。「ウホッ」という意味ではないが、ギリシャ彫刻のような裸体は美しく必見である。

ラストはあれほど激しい戦いのあとにもかかわらず、真田広之は相手役の蜷川有紀(本作が映画デビュー作)が一頭の馬に乗って、いちゃいちゃしながら砂浜を走るシーンで終わる。

あの戦いとはいったい何だったのかと思いながら見ていたが、馬上の蜷川有紀の何とも言えない表情がなかなかよい。馬に乗るのが怖いのか素の表情なのか分からないが、なんとも不思議なラストシーンだった。