退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

畑中葉子「後から前から BOX」を聞いてみた

畑中葉子のソロ・デビュー35周年の企画盤「後から前から BOX」(4枚組)を聞いてみました。

畑中葉子と言われても若い人は知らないかもしれません。彼女は1978年に平尾昌晃とのデュエット曲「カナダからの手紙」でデビュー。この曲は大ヒットとなりデビュー曲でいきなり同年のNHK紅白歌合戦出場を果たします。

翌年1979年には「ロミオ&ジュリエット’79」でソロ・デビューを果たし、トップアイドルの歩みを進めるかと思いきや、突然結婚して8か月後には離婚。

さらに翌年1980年にはなんとにっかつロマンポルノで女優デビューします。清純歌手だった畑中のポルノ出演は世間に大きな衝撃を与えます。第2作『後から前から』(1980年、監督:小原宏裕)は大ヒットし、映画で自ら歌った「後ろから前から」(作詞:荒木とよひさ)もヒット曲となりました。今回の企画盤のタイトルにもなっています。

後から前から [DVD]

後から前から [DVD]

ここまで書くと、彼女をイロモノの一発屋と思うかと思うかもしれませんが、平尾昌晃のレッスンで培われた確かな歌唱力が彼女の魅力です。何を歌っても情感たっぷり。とにかくアルバムを聞いても歌が本当に好きだったということが伝わってきます。

このCD-BOXでは、以下の4枚のオリジナル・アルバムが復刻されています。

  • 『白日夢』(1981年)
  • 『メタモルフォーゼ(脱皮)』(1982年)
  • 『強行突破』(1982年)
  • 『香艶的夜總會(ロマンティックナイトクラブ)』(1983年)

リーフレットには企画盤制作時のインタビューも収録されて当時の裏話を読むことができます。なお『白日夢』のリーフレットには、どーんとヌード写真が載っているので周囲に警戒が必要です。大盤のLP盤ではさぞ迫力があったことでしょう。


畑中葉子/“前から”シングル曲ダイジェスト!

CD化にあたりLPから尺が伸びた分、さまざまな音源が追加されています。主にカラオケですが、当時カセット音源でリリースされた、畑中がヒット曲をカバーした以下の楽曲が収録されているのは貴重。いまになって新音源に出会えるとは掘り出しものでした。

  • せんせい
  • 私はピアノ
  • ロックンロール・ウィドウ
  • 愛の水中花
  • まちぶせ
  • 人形の家
  • 恋のバカンス
  • 情熱の花

これらのカバー曲はいま聞いても聴き応えがありますし、オリジナル曲の魅力も確認できます。まあザ・ピーナッツの楽曲をなぜひとりで歌うのかという疑問もありますが……。どうせなら二人のパートをひとりで録音して重ねてほしかったですね。


畑中葉子/“&モア”カバー曲ダイジェスト!

いずれにしろ35周年(2014年当時)にこうした企画盤を出せるのは歌手としてしあわせなことでしょう。ビクターもなかなか太っ腹ですね。