今年になって都知事辞任劇で耳目を集めた舛添要一が20年ぐらい前に上梓した語学上達法をまとめた本。筆者は語学の専門家ではないが、語学習得の体験が具体的に描かれているところが美点である。いまならもう少し楽ができそうと思うこともあるが一読の価値はある。
この本は大きく分けて、筆者の語学習得の体験記、そしてその体験から得られた外国語学習のポイントから成る。
まず体験記では、筆者の中学時代から大学時代、そして東大助手になりフランス留学するあたりが語られる。留学先での悪友との交流などは活き活きとした青春記としても面白く読める。
読者によっては「自慢話かよ」と感じるかもしれないが、使い込んでボロボロになった辞書やフランス語の小テストの答案の写真も挿入されていて、舛添氏も外国語学習については努力を惜しまなかったことがわかる。
次に外国語学習のポイントであるが、「成功する9つ秘訣」と「7つの落とし穴」が挙げられている。メモとして以下に列挙しておく。
成功する9つの秘訣
- 基礎は日本人から習え
- クラス授業で習え(5〜10人程度のクラスが望ましいい)
- 発音と作文はネイティブの指導が必要
- 単語は書いて覚えろ
- 辞書をフルに活用しよう
- ミニテストをしてもらえ
- 全身を使ってプラクティス(習うより慣れろ)
- 動詞の語尾変化が決めて
- ダラダラやるより一気に集中(1日の勉強時間はせいぜい1時間程度/文法は集中的に学習)
7つの落とし穴
- 「ネイティブから習え」の落とし穴
- 「マンツーマンで習え」の落とし穴(クラスで習うのがよい)
- 「最初から現地へ行って習え」の落とし穴
- 「英語を習うなら英語で考えろ」の落とし穴
- 「学校の授業を聞くより語学学校へ」の落とし穴
- 「本を読むより会話の練習をしろ」の落とし穴
- 「子供のうちから習え」の落とし穴
昨今の流れであるオーラル重視に疑問を投げかけているなど、いま読んでも得るものがある。筆者のスキャンダルはひとまず措いておいて、外国語学習者にとって励みになる一冊である。