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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『11人いる!』(1986) / 萩尾望都原作のアニメーション映画化

先日、吉祥寺で見た萩尾望都のSF原画展に触発されてアニメ映画『11人いる!』(1986年、監督:出崎哲、冨永恒雄)を見てみた。原作は1975年に連載された中編SF漫画。

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最高の教育機関であるコスモアカデミーの入学最終試験は、受験生10名が漂流宇宙船で共同生活をして困難を克服しながら53日間サバイバルするというもの。漂流宇宙船に乗り移ると、なぜか受験生が11人いた。アカデミーが想定した以上のアクシデントが発生するなか試験をクリアできるのか……。いまでもストーリーの面白さは古さを感じさせない。

コミック作品を映画化する場合、映画の尺に合わせてばっさりと原作を切り捨てることが多いが、本作は原作が中編ということもあり原作にほぼ忠実にアニメ化されている。映画向きのコミック作品と言えるだろう。

映像的には最近のコンピュータ・グラフィックスを駆使したアニメ作品に比べると古いと感じるのは仕方ないが、おっさん的には杉野昭夫ら当時のアニメータの仕事ぶりに感心しつつ見ることできる。爆発シーンなどは細かく描き込まれていていま見ても見応えがある。

声優陣も神谷明田中秀幸古川登志夫玄田哲章若本紀昭(現・若本規夫)らが起用されなかなか豪華なのだが、なかにフロル役に河合美智子が抜擢されていてベテラン声優陣に混じって芝居が浮いているのが目立つ。河合は本作の挿入歌を歌っているので、アイドルとして売りだそうとする大人の事情だったのだろうか。

エンディングで登場人物のアカデミー卒業後が紹介されるのは映画らしい演出だ。

内容についてはいまさら語るころもないが、フロルの性別が未定というあたりはジェンダー論と絡めて語られることも多い。女性の自立というとさすがに陳腐ではあるが、LGBTという語が広く知られるようになった現代にも通じる普遍的なテーマなのかもしれない。

実写版にしても面白いのでは思ったが、既に1977年にNHK少年ドラマシリーズとして映像化されていた。こちらは未見。

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