退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「スタジオ設立30周年記念 ピクサー展」 @東京都現代美術館

東京都現代美術館で開催中の「ピクサー展」に行ってきました。「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」、「インサイド・ヘッド」など、数々の人気作品を世界に送り出しているピクサー・アニメーション・スタジオ。

先進的なコンピュータ・グラフィックスの技術に注目が集まりがちなピクサーですが、作品の創作にあたっては多くのアーティストやデザイナーたちが活躍しています。そうしたアーティストたちの映画制作の過程で創り出した多種多様なアートワークを紹介する展覧会です。

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まずはピクサーのアニメーション映画の制作プロセスを紹介する展示がすばらしい。個人の才能に依存するのではなくシステマチックに制作が進んでいくことが分かります。まさに工房という趣です。

ここで面白いと思ったのは、キャラクターの造形を決めるときにコンピュータ・グラフィックスだけでなく、実際に3Dの模型(マケット)をつくって検討している点です。このプロセスはずっと踏襲されているらしく、これまでに発表された作品に登場するキャラクターのマケットをたくさん見ることができます。

また会場ならではの展示として、大型の3Dゾートロープを挙げることができます。円盤の上に配置された立体フィギュアたちを、暗闇の中で高速回転させ、それらをストロボライトで照らすことによりキャラクターたちが動いているように見せる装置です。今回は「トイ・ストーリー」のキャラクターによる《トイ・ストーリー ゾートロープ》でした。

ゾートロープはアニメーションの原理を体感できる装置としてよく知られていますが、これほど大きい物は初めて見ました。言葉だけで説明してもわかりにくいので、ゾートロープのイメージを以下の動画で紹介します。


3D Zoetrope "Get Animated" at the California State Fair

さらに、平面に描かれたアートワークを3D動画へと変換して大型スクリーンに投影する《アートスケープ》も必見です。ピクサー作品が次々に登場する15分ループのインスタレーションですが、大変な混雑でした。もっと広い会場で落ち着いて見たかった。

ピクサー展ということもあり、ベビーカーを押している観覧客が大勢いましたが、はっきり言って幼児向きではありません。小さな子どもは退屈でしょう。会場の外に「モンスターズ・ユニバーシティ」のキャラクターといっしょに写真撮影できるコーナーがありました。子どもがはしゃいでいたのはここぐらいです。
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