退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『股旅』(1973) / 市川崑監督の異色の青春群像劇

シネマヴェーラ渋谷の《開館10周年記念特集II シネマヴェーラ渋谷と愉快な仲間たち》の【斎藤工セレクション】で映画『股旅』(1966年、監督;市川崑)を鑑賞。谷川俊太郎がシナリオに参加してことにも注目したい。

股旅 [DVD]

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農家の食いつめ者で渡世の世界に入った三人(萩原健一小倉一郎、尾藤イサオ)の股旅者の姿を描いた異色の青春時代劇。訛り丸出しで仁義を切る冒頭シーンが笑いを誘う。早口なので「いまなんて?」と言いたくなるが最初からぐっと惹きつけられる。

カッコいい任侠とは無縁の渡世人。生きるためそして仁義のためには、親を殺し恩義ある親分も襲うというガツガツとした三人が描かれる。カッコ悪いし、弱いしロクなものじゃない三人で、その末路もあっけなく寒々としている。それでもどこか魅力的で不思議な後味が残る。

なぜこんな映画撮ったのだろうと思ったが、フライヤーによれば「70年代当時の閉塞した時代と若者像が反映されている」とのこと。その時代の空気感は知るべくもないが、団塊の世代は経済的には成功して悠々と老後を過ごしていることを思うと、現代の方がよっぽど閉塞してるのではないか。映画のあとそんなことを思った。

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ひとつ残念だったのは、上映フィルムが劣化して褪色していたこと。やはり青春映画は瑞々しい色彩で見たかった。

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