退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

薄味だったNHKスペシャル「新・映像の世紀」が終わりました

月1本のペースで放送されてきたNHKスペシャル「新・映像の世紀」(全6集)が終わった。

1995年から1996年にかけて放送された前作の「映像の世紀」(全11集)と比べてずいぶんと尺が短くなった。本来なら21世紀になって起きた歴史的事件を考えればさらに尺が必要なはずだ。また前作はドキュメンタリーとしての演出がなされていたが、本作では人物中心で物語性が強調されてNHKの主張が色濃く出ているのも特徴と言えよう。

www.nhk.or.jp

残念だったのは尺が短いためどうしても全体的に駆け足だったこと。とくに21世紀になって顕著になったインターネットの普及にともない誰しもが発信者なれるという社会の変化に言及が不十分。「アメリカ同時多発テロ事件」「アラブの春」などは現代社会への影響を含めてもっと丁寧に扱うべきテーマであまりに拙速にすぎる。

また日本についての話題が少なかったことも残念。「オウム事件」や福島第一原子力発電所事故を含めた「東日本大震災 」についてもっと多くの時間を割くべきだろう。このあたりは現政権への配慮があったのではないかと思うのは考えすぎか。

とにかく前作で強く感じられた映像の迫力があまり感じらず、薄味というか淡白な印象を受けた。音楽は前作を踏襲した加古隆の楽曲(新録音らしい)だったためか、余計に番組の内容が音楽に負けているように感じた。

新・映像の世紀 オリジナル・サウンドトラック