退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『顔のないヒトラーたち』(2014) / ドイツ人によるアウシュビッツ裁判開廷までの道のりを描いた人間ドラマ

新文芸坐で映画『顔のないヒトラーたち』(2014年、監督:ジュリオ・リッチャレッリ)を鑑賞。原題は、Im Labyrinth des Schweigensといい、直訳すれば「沈黙の迷宮の中へ」あたりだろうか。

顔のないヒトラーたち Blu-ray

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戦後10数年経た1958年のフランクフルトが舞台。経済復興の波によるドイツの人々は戦争の記憶、ことさらに自分が犯した犯罪を忘れようとしていた。

ある日、ジャーナリストが偶然アウシュヴィッツ強制収容所で親衛隊員だった男が、ある学校の教師をしていることを突き止める。ナチスの重要なポストについていた者は公職に就けないという規則に違反していた。

駆け出しのイケメン検察官ヨハン(アレクサンダー・フェーリング)は、上司の制止にも耳もかかわらず、この一件の調査を始める。調査を進めていくと、アウシュヴィッツでの悪行に関わりながら、罪を問われることなく普通に市民生活を送っている多数の元親衛隊員の存在が判明する。

主席検事バウアーの指揮下、ナチスアウシュヴィッツでどのような罪を犯したのか、その詳細を生存者の証言や証拠を基に次第に明らかになってくる。ついに1963年、フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判の初公判が開かれる。

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このようにドイツのフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判の道のりを淡々と語る作品なので、ドイツ映画には点数が甘くなるが映画的なスペクタルには欠ける。しかし戦後にドイツ人自身の手で戦時中のドイツ人の犯罪を裁いた事実を知るだけでも興味深い。日本と単純に比較できないだろうが、戦後日本人が日本人を裁くことはなかった。この違いは現代日本に大きく影を落としている気がしてならない。
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