退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『オリオンの殺意より 情事の方程式』(1978) / 根岸吉太郎監督のデビュー作

東京国立近代美術館フィルムセンターの《自選シリーズ 現代日本の映画監督4 根岸吉太郎》で映画『オリオンの殺意より 情事の方程式』(1978年)を鑑賞。根岸監督のデビュー作となった、にっかつロマンポルノ作品。

経済的に成功している家父長的な父親(戸浦六宏)と若い後妻・麻子(山口美也子)と3人暮らしの高校生・敏彦(加納省吾)が主人公。麻子につらくあたる父親に対する憎しみを募らせていく一方で、次第に継母への思いも昂じていく。やがて敏彦は父親殺害の計画を企てるに至る。しかし、これを実行する前に麻子と通じる男が殺人を決行するが、あっさり逮捕され、共犯の麻子も逮捕される。

そもそも息子が父親殺害にまで考える理由が説得力がない。勝目梓の原作があるようだが、映画としてどうなんだろう。オリオン座ということでプラネタリウムのシーンがあったり、主人公の模型飛行機を趣味にしているという設定があるが、いずれも回収されない。なんだかなぁ~。

高校生の息子を誘惑する継母が見せ場だろうが、山口美也子のお色気でなんとか見れるというところか。あと個人的には亜湖が出演していたことに注目したい。彼女がアフリカに行く行かないという設定だったが出番は少なくて残念。しかもなかなか脱がなくてイライラした。

監督の自選ということは、このデビュー作を観客に見てほしかったいうことなのだろうか。真意は分からないないが、監督のデビュー作であること以外には顧みられることがない作品だろう。フィルムセンターでロマンポルノを見るという機会こそ大切にすべきか。

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