退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ドローン・オブ・ウォー』(2015) / ドローンによる対テロ戦争の実態

新文芸坐イーサン・ホーク主演の映画『ドローン・オブ・ウォー』(2015年、監督:アンドリュー・ニコル)を鑑賞。野暮ったいタイトルだなと思ったが、原題はGood Killという。「皆殺し」ぐらいの意味だろうか。

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アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、F-16戦闘機のパイロットから無人戦闘機の操縦士に転身して政府のテロリスト掃討作戦に従事してきた優秀な軍人だった。

しかしラスベガス郊外の自宅と砂漠の基地を往復し、戦場から遠く離れたオペレーション・ルームから、ゲームのような感覚でミサイルを発射するという生活に違和感を感じていた。CIAの特殊作戦に参加して過酷な任務を重ねるうちに次第に精神が蝕まれていき家庭も崩壊していく。さらに任務中に故意にリンクを切ったり、自分だけの判断で攻撃を実行したりするようになる。

映画では、主人公が車で別居中の妻に向かうところで終わり、顛末は語られない。

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戦場からはるかに離れた本土の空軍基地に設置された空調のきいたコンテナのなかからテロリストに対してゲーム感覚でミサイルで攻撃する。絶対に安全な場所からの一方的な殺戮にほかならない。これはもはや戦闘とは言えないだろう。主人公が戦闘機乗りに復帰したいという気持ちもよくわかる。

正直言うと映画ととしてはそれほど面白くないが、ドローン時代の戦争を緻密に描いている一点で興味深く見ることができた。

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