退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『橋』(1959) / 西ドイツ時代の反戦映画

DVDで映画『橋』(1959年、監督:ベルンハルト・ヴィッキ、原題:Die Brücke)を鑑賞する。ドイツ側から描いた反戦映画。

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舞台は第二次世界大戦末期のドイツのとある田舎街。これまで対象外だった15歳ぐらいの学生も本土防衛のために徴兵される。招集を受けた7人の少年は即席の軍事訓練を受ける。しかし翌日には連合軍の攻撃が激しくなるなり、部隊は緊急呼集され戦地に赴くことになる。新兵の少年たちが戦闘には役に立たないことを告げられた指揮官は、戦略上価値のないすでに爆破が予定されている橋の守備を命じる。

この橋は故郷の街の橋だった。命じられたとおり橋を守っていると、米軍の戦車がやってきて戦闘になる。あっという間に全滅するかと思いきや、敵戦車を撃破するなど少年兵は意外に健闘する。しかし練度の低さは覆うべくもなく、ひとりまたひとりと斃れていく。

それでも米軍を退却に追い込み、ほっとするのもつかの間。当初の計画どおり橋を爆破するドイツ兵がやってくる。しかしドイツ軍内部の連絡が徹底しておらず、あくまでも橋を守ろうとする少年兵は橋を爆破しようとするドイツ兵を射殺してしまう。最後に生き残ったのは少年ひとり。

この映画の前半は少年たちの家族などの背景や学校での日常、そして後半では米軍との戦闘で構成されている。少年たちの悲劇を通じて、戦争の不条理を訴える重たい反戦映画。「あまりにも些細な出来事で軍の記録にも残っていない」というテロップが悲しい。

ただ映像的には米軍のシャーマン戦車が再現されていないのがやや不満。それでも戦闘シーンはなかなかの迫力だった。悪役にされる多いドイツ軍側から描いた戦争映画は貴重。当時のドイツの田舎街も興味深い。

余談だが個人的にはドイツ語字幕が付いているとうれしかったのだが残念。

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