退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『私は貝になりたい』(1959) / 橋本忍が監督を務めた反戦映画

シネマヴェーラ渋谷の《巨星・橋本忍》で映画『私は貝になりたい』(1959年)を鑑賞。テレビ黎明期のドラマを、脚本家・橋本忍が自らが監督を務めて撮った反戦映画です。

私は貝になりたい <1959年度作品> [DVD]

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戦時中、高知で理容店を営む豊松(フランキー堺)は徴兵され、過酷な軍隊生活の経て復員する。家族三人で平穏な生活を取り戻したかに思えたが、戦時中の捕虜虐待の罪を問われBC級戦犯として逮捕され、絞首刑の判決を受ける。講和条約締結により釈放されることに希望をつなぐが、ついに刑が執行されることが決まる。豊松は、生まれ変わるなら「私は貝になりたい」と書いた遺書を残す。

フランキー堺の名演が素晴らしい。こうした小市民を演じるとさすがに上手いです。そして何度も見て結末を知っているのですが、最後の「貝になりたい」という台詞が胸を打ちます。

この映画は戦争の不条理と悲劇を描いた名作であると同時に、「戦争犯罪」は何だろうということも考えさせられます。映画の豊松は上官の命令で捕虜の腕を銃剣で傷つけたことでで絞首刑になります。国際法違反なのは間違いないが、勝者の裁きであることは間違いありません。

一方、勝者が行った原爆投下や東京大空襲などの無差別爆撃は「戦争犯罪」ではないでしょうか。戦争をやるなら絶対に負けてはいけない。やるからには勝たねばならないということでしょう。

この映画『私は貝になりたい』は、2008年に中居正広主演でリメイクされていますが、こちらは未見。今回の「橋本忍特集」で当然掛かると思ったのですが、残念ながら作品リストにはありませんでした。ジャニーズの壁ですかね。残念。