退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『憎いもの』(1957) / 愛を売って父に幸福を貢ぐ娘

シネマヴェーラ渋谷の《巨星・橋本忍》で映画『憎いもの』(1957年、監督:丸山誠治)を鑑賞。原作は石坂洋次郎東宝の中編映画シリーズ“東宝ダイヤモンド”シリーズの第4弾で、名脇役と知られる藤原釜足のレアな主演作。

弘前で雑貨商を営む父(藤原釜足)には、恋人と離れ東京で働いて実家に仕送りする親孝行の娘・由子(安西郷子)がいた。その仕送りを元手に商品の仕入れのため仕事仲間の木山(東野英治郎)とともに上京する。

東京で娘から心からの歓待を受けて幸せに浸る父。帰郷する日、木山に無理やり連れられ売春宿に誘われる。仕方なく付き合うが娘の仕送りで女遊びする気にならなかった。汽車の時間が迫ってきたので木山の部屋に行くと、そこには由子がいた。娘がコールガールであり、仕送りも売春で稼いた金だったことを知り絶望する父。

父は、知らなかったとはいえ娘を抱いたことを詫びる木山とともに泥酔する。ふと目を覚ますと仕入れたひょっとこの面が目に入る。あざ笑っているように見えたひょっとこの首を激情にまかせて締め上げた。それは木山だった。彼を絞殺してしまったのだ。警察で取り調べを受けるが、その傍らにもひょっとこ面が……。

だいたいそんな話だ。幸福から絶望に急展開するあたりが見せ場なのだろうが、映画は始まってすぐに娘がカラダを売って仕送りしていることが薄々わかってしまうのが難点。売春宿で親娘が鉢合わせするあたりまでは予想できたが、殺人事件が起こるところまでは読めなかった。

劇中、のちの水戸黄門の東野がずっと売春宿のために「2000円残しておけ」と何度も言うシーンがおかしい。

中途半端な尺なのでなかなか上映される機会がないだろうが、今回は長尺の『幻の湖』との二本立てで見ることできた。気軽に見れるのでネット配信してもいいかもしれない。

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