退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

NHKの本気「新・映像の世紀」(第1回)を見た

NHKスペシャルの新シリーズ「新・映像の世紀」(全6回)が始まった。録画していた第1回をようやく見た。ムービーカメラが発明されてから100年余り。映像は、人類が蓄積した膨大な「記憶」である。と言ったコピーが踊っている。音楽は旧シリーズと同じ加古隆の楽曲が採用されている。

www.nhk.or.jp

第1回は「第一次世界大戦」でだった。ムービーカメラが登場して最初に活躍した戦争が第一次世界大戦であり、塹壕戦などの膨大な映像が残されている。三国協商三国同盟とか、または3C政策と3B政策などを無理やり暗記させられた人も多いだろう。

しかし映像でヴィルヘルム2世などの歴史上の人物に接すると、ずっと親しみをもって世界史に接することができる。映像を活用した教材をもっと導入してもいいかもしれない。もっとも映像は100年余りの期間しかないのでそういうわけにはいかないのだろう。タイムスクープハンターの登場が待たれる。

今回、最も印象に残ったのは英国の三枚舌外交である。これを「アラビアのロレンス」を引き合いにだして紹介していた。ロレンスは英国の国益を考えると諜報部員として第一級の功績をあげたのだろうが、騙された方がたまったものでない。

現在なお続く中東問題の多くは不誠実きわまりない英国の外交政策に起因するものであるし、そう考えるとシリアからの難民も英国が引き受ければいいのにと思わなくもない。さらに最近、東京のトルコ大使館前に起こったクルド人とトルコ人の乱闘騒ぎも第一次世界大戦に産物だと思うと、歴史の連続性を感じざるを得ない。

番組はNHKの本気を見た気がするほど見応えがあったが、それは映像アーカイブの持つ力によるところが大きいのかもしれない。欲を言えば、欧州の戦線だけでなく、アフリカを中心とした世界各地の植民地での戦闘の様子なんかも見たかった。

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