退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ラン・オールナイト』(2015) / リーアム・ニーソン主演のジャンル映画の秀作

新文芸坐で映画『ラン・オールナイト』(2015年、監督:ジャウマ・コレット=セラ)を鑑賞。併映の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)を目当てに出かけたので、あまり期待しないで見たがなかなかの拾いもの。それにしても、いつのまにリーアム・ニーソンはアクション俳優になったんだろう。

舞台はニューヨーク。殺し屋として闇の世界で名を馳せたジニー(リーアム・ニーソン)も、いまや酒びたりの日々。ひとり息子のマイク(ジョエル・キナマン)はそんな父親を嫌い、リムジンの運転手として妻子とともにまっとうに暮らしていた。ある夜、偶然に殺人現場を目撃したため殺されそうになったマイクを救うため、ジミーは30年来の親友でもあるボスのショーン(エド・ハリス)の息子を射殺してしまう。怒り狂ったショーンは、ジミーとショーンの父子を抹殺することを宣言する。ニューヨーク中が敵にまわるなか父子の決死の逃亡劇が始まる……。

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だいたいこんな話。第一感、映画『96時間』の二番煎じのような映画かなと。しかし本作は一晩逃げ切ればというセリフもあるが、明確なタイムリミットがないところが違うといえば違う。また本作は、リーアム・ニーソンはもちろん強いのだが、スティーブン・セガールばり無双の強さというわけでなく、途中からは足を引きずるなどややアクションを抑えて、父子の関係を強調した演出になったいる。

ジャンル映画では定番のシーンが満載だが、ちょっと目新しいシーンがあったので2つ紹介しておく。ひとつはサイレンを鳴らしたパトカーを、リーアム・ニーソンが運転する車が追跡するシーン。パトカーが追われるというのは新鮮。

もうひとつは団地(housing project)の火事のシーン。団地好きには興味津々。住民が使用中のガスコンロを消し忘れて避難したために火事になり、ついにはガス爆発を起こして大惨事になる。いやいや日本ならスプリンクラーが作動するだろ思ったがまあいいや。火事のなか、ジミーと彼を追う殺し屋(ターミーネーターみたいな奴)との対決は見どころのひとつ。互いに棒を振り回してチャンバラのようになるシーンは面白い。

それでもニューヨークの街中を動かせるほどの力を持つホスが、ジミーの逆襲の前にあっさり負けてしまうのはどうなのか思ったが、まあ細かいことはいいでろう。

ラストでジミーは敵の殺し屋と相討ちになり、父子は最後まで和解できない。だがジミーの死後、マイクの心のなかでジミーが復権を果たすという、ありがちではあるがよく出来たプロット。最後まで飽きずに見ることができた。


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