退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『キングスマン』(2014) / ハチャメチャなイギリス産のスパイ映画

近くのシネコンで映画『キングスマン』(2014年、原題:Kingsman: The Secret Service)を鑑賞する。映画『キック・アス』と同じく、マーク・ミラーの原作コミックをマシュー・ヴォーン監督が映画化した作品。これは見逃せない。

当初は10月の最終週に見に行く予定だったが、その前に上映終了が決まったので慌てて見てきた。日本では大ヒットというわけにいかなかった模様だが、今回見に行って大正解。今年見た映画のなかで5本の指に入るベストのひとつ。

KINGSMAN: SECRET SERVICE

KINGSMAN: SECRET SERVICE

ロンドンの低所得者層向けの公共住宅に暮らす若者エグジー(タロン・エガートン)が、スーツ姿の英国紳士ハリー(コリン・ファース)にスカウトされ、独立した世界最強のスパイ機関「キングスマン」で活躍するまでの成長を描く。階級社会であるイギリスをきちんと描いているのも好感がもてる。

ハリーの奨めで「キングスマン」採用試験に参加し、選考プロセスで他の候補生たちと過酷な競争が最初の見どころ。ブラックユーモアや大逆転で実に楽しい。

そして勝ち残ったエグジーは「人類抹殺計画」を企てるIT富豪(どうやって成功したかは言及されない)である実業家リッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)と対決する。

まあストリーはどうでもいい。ハリーの福音教会でのアクションがクライマックス。数十人の暴徒と戦い皆殺しにするシーンの迫力がすごい。真田広之がこれをやっても驚かないが、コリン・ファースがこのアクションをやったことに驚いた。

もうひとつ驚いたシーンを挙げる。エグジーが単身敵のアジトに乗り込んだあと、ヴァレンタイン一味の首に埋め込まれたインプラントが、エルガー「威風堂々」が流れるなか次々に爆発するシーン。ここまでスパイ映画として真面目に見ていたが、「いままでは何だったんだ」と思うほど、このシーンにはすべてをひっくり返すインパクトがある。映画史に残る迷シーンかも。

この映画には007シリーズを始めとするスパイ映画にオマージュがたっぷり盛り込まれているが、不思議とボンド・ガールのようなお色気要員は不在だ。物足りない気もするが、これも時代に流れかもしれない。


Kingsman: The Secret Service Trailer 2015 Movie ...

最後に英語の話をひとつ。映画の最初のほうでではハリーが、そしてラストで覚醒したエグジーがパブのチンピラ相手に吐くセリフだ。聞き取れなかったので、あとで調べてみると古い英語だった。いまどき maketh なんて分からないのは無理もない。

[Quoting William Horman] "Manners maketh man." Do you know what that means? Then let me teach you a lesson.


Manners Maketh Man - Kingsman: The Secret ...

余談だが、映画を見た後ギネスビールを飲んでみた。鑑賞後に映画に関係したちょっとした飲食を楽しむのもアリかなと再発見した次第。
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