退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」がよかった

阪急電鉄宝塚歌劇団・阪急百貨店・東宝をはじめとする阪急東宝グループの創業者である小林一三(こばやし・いちぞう)の伝記ドラマ。主演はまさかの阿部サダヲ

経世済民の男」の第一弾では高橋是清オダギリジョーが演じていました。阿部サダヲオダギリジョーのキャスティングは逆がよかったのではと思いながら見始めました。しかし脚本(森下佳子)が素晴らしかったこともあり阿部サダヲが予想以上によかったです。

今回のドラマは1時間の枠で前編・後編の延べ2時間の尺。小林一三の波瀾万丈の人生を描くには余りにも短くて駆け足なのは残念。

大河ドラマでやってもネタに困らないだろうに……。阪急ブレーブス宝塚歌劇団だけでもそれぞれひと月は大丈夫。今年の不人気な大河ドラマ「花燃ゆ」を作るぐらいなら、小林の妻・コウを主人公に大河ドラマを撮ってほしいものです。もっとも特定の企業グループの創設者を取り上げるのは公共放送としてはマズいかもしれませんが。

ビジネス面で大きな足跡を残した小林だが、このドラマではプライベートもうまく描かれています。さえない銀行員だった頃のダメ男ぶりを演じるさせると阿部サダヲが見事に本領発揮。「あげまん」の芸者上がりの妻・コウ役の瀧本美織、銀行員時代の上司役の奥田瑛二などのキャスティングもいい。

また当時の町並みを再現したセットも金がかかっている様子で、民放ドラマではあり得ない豪華なドラマに仕上がっています。ドラマの王道を追求して金をかければいいモノができるなと思わせます。

極めつけはラストに使われた、宝塚大劇場の大階段をスタジオに運び込んだというムダに豪華なセット。この大階段で本物のジェンヌたちのなかを阿部サダヲが踊り、最後に「ありがとうございました」と口パク。くうぅー。スタッフにこのシーンを撮りたいだけのヅカオタがいたのではと思ったが、ツボを押さえていて面白いエンディングでした。

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photo by nakashi