退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『神田川淫乱戦争』(1983) / 黒沢清監督の初監督作品。ただしピンク映画

シネマヴェーラ渋谷の《カンヌ凱旋 黒沢清レトロスペクティブ》という企画で映画『神田川淫乱戦争』(1983年)を鑑賞。自主制作のようなテイストだが、れっきとしたピンク映画として製作された商業映画。黒沢清の27歳のときの初監督作品である。

昭和ポルノ劇場 神田川淫乱戦争 [DVD]

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黒沢清監督をはじめ、撮影に瓜生敏彦、編集に 菊地純一、そして助監督に周防正行、塩田明というそうそうたる顔ぶれが集結したことで知られる伝説的なピンク映画。

神田川沿いのマンションに暮らすあきこ(麻生うさぎ)とのまさみ(美野真琴)。対岸のマンションに引っ越していた母子の部屋を覗くとなんと近親相姦しているのを見つける。あきことのまさみは、無垢な少年(岸野萌圓)を救い出すために自らが少年と性交しようとするふたりの女性の〈活躍〉を描くコメディ映画。

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この映画には、神田川での乱闘シーンでの長回しや官能小説を朗読するシーンなど映像的な見どころはあるが、これを黒沢清のセンスが光ると感じるかはアナタ次第。まあ一度見ておく価値はある。

かつて日活ロマンポルノには、濡れ場が定期的なあればあとは何でもやってよい、という時代があったという。この映画は日活ロマンポルノではないが、その系譜にある映画だろう。才能ある若手がのびのびと撮っていることは伝わってくる。

また個人的にはピンク女優として活躍していた麻生うさぎを見れたのがうれしかった。なつかしい。

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