退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『吼えろ鉄拳』(1981) / 真田広之主演の東映アクション映画

東京国立近代美術館フィルムセンターの恒例企画《特集・逝ける映画人を偲んで 2013-2014》で映画『吼えろ鉄拳』(1981年、監督:鈴木則文)を鑑賞。追悼するのは鈴木則文監督。

幼少からテキサスの養父(石橋雅史)の元で空手を教えこまれた譲次(真田広之)。養父が死後、譲次は日本に戻るが肉親が既に殺されていて愕然とする。叔父の一輝(成田三樹夫)がその仇だと知った譲次は香港に飛び、一輝を次第に追い詰めていく。後半は香港を舞台に繰り広げられるアクションシーンが最大の見せ場。

アバンタイトルで譲次の双子の兄(真田の二役)が射殺されるシーンから始まる。主役が冒頭から殺されれるという意外性に思わず唸る。その後もトップレスの水着ギャルやアブドーラ・ザ・ブッチャーが次々に登場して観客を飽きさせない。さらに京都の街を舞台にしたコミカルな追跡劇もすばらしい。サービス満点。

そして圧巻は香港でのアクションシーン。二階建てバスを舞台にした真田の身体を張ったシャープなアクションは必見。もう日本映画ではこういうガチのアクション映画は撮れないだろうと思わせる。また千葉真一志穂美悦子も華麗なアクションを披露してくれるのもうれしい。

本作のように何も考えずに楽しく見ることができる日本のアクション映画はいまでは希少。余計な演出を抑えて真田のアクションを魅せることに徹した鈴木則文監督の手腕が光る。一度は大スクリーンで観たい一本。

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