退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】ジェニファー・L・スコット『フランス人は10着しか服を持たない』 (大和書房、2014年)

南カリフォルニア大学の女子学生が、パリに半年間留学したときにホームステイ先のマダムの暮らしぶりに感銘を受け、自分のライフスタイルを変えることに目覚めたというエッセイ。

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~

キャッチーな書名にしたかったのだろうが、タイトルの『フランス人は10着しか服を持たない』 というのは釣りだろう。すべてのフランス人が本書にあるようなライフスタイルを持っているわけでもないだろう。たまたまホームステイ先がそのような家だっただけでないか。

原書のタイトルは、Lessons from Madame Chic: 20 Stylish Secrets I Learned While Living in Paris というらしいが、こちらの方が納得できる。本書ではマダム・シックという仮名でホームステイ先のマダムが登場するが、このシック(chic)という語の本書のカギだろうか。英語のchicという語のニュアンスが伝わってくるようで興味深い。

Lessons from Madame Chic: 20 Stylish Secrets I Learned While Living in Paris

Lessons from Madame Chic: 20 Stylish Secrets I Learned While Living in Paris

もっと言えば、フランス人の対するアメリカ人のコンプレックスが見えるような気もする。カリフォルニアカリフォルニアのライフスタイルがあるり、パリにはパリのライフスタイルがあるというのが本当であろう。まあ学生時代の留学経験で強いカルチャーショックを受けただけでも留学した価値はあっただろうが……。

そうは言っても、この本で紹介されている次のようなライフスタイルは現在の日本の都市生活のなかで共感を得られることも多い。

  • 食材に気を使い食事を大切にする
  • 上質のモノを少しだけ持ち長く大切に使う
  • ジムに行かずに生活のなかで工夫して運動する
  • 日常にささやかな楽しみを見つける

この本はベストセラーになっているようだが、上のような物質主義を越えたシンプルな生活は、国を問わずとくに都市生活者のあこがれのようだ。日本の作者による類書も容易に見つけることができるが、アメリカ人気質を垣間見ることができる点は他書にない魅力である。