退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『サード・パーソン』(2014) / 3つの都市を舞台に展開するややこしい話

新文芸坐で映画『サード・パーソン』(2014年、監督・脚本:ポール・ハギス)を鑑賞。人間の苦悩と救済を描いた監督らしい映画。

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • 発売日: 2015/01/06
  • メディア: Blu-ray

ズバリ、脚本の映画。ややこしい話なので覚悟して見るべし。

パリ、ローマ、ニューヨークを舞台に、次の3組の男女のストーリーを複雑に交錯させて描く恋愛ミステリー。いずれも子どもに関わる話なのに注目してほしい。

  • パリのホテルにカンヅメになって最新作を執筆する小説家と、作家志望の若き愛人。
  • ローマ滞在中のアメリカ人と、娘を奪われて人間不信のロマ族の女。
  • ニューヨークのホテルで客室係として働きながら、現代アーティストの元夫から息子を取り戻そうとする元女優。

下が3組のカップル計6人の写真で、上段真ん中の男がパリに滞在している小説家(リーアム・ニーソン)。彼を中心に、一見まるで関係のなしストーリーがいかに収斂していくかが見どころとなる。
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前述したように本作は「脚本の映画」なのでネタバレ厳禁。予習しないで鑑賞することを勧めたい。「ああ、こういうことか」と唸ることができるかはあなた次第。万人にウケて大ヒットする映画ではないだろうが、ややこしいシアター系の映画が好きな人は十分楽しめるだろう。完成度の高い、洗練された映画です。

視点が3つ舞台を転々と移動するので気が抜けない。映画『her/世界でひとつの彼女』(2013年)との2本立てで少々疲れていたこともあり、仕掛けをいくつも見逃してるおそれもある。一度見ただけではわからないかもしれない、そんな映画だ。体調を整えてスクリーンと対峙することをオススメする。


Third Person Official Trailer (2014) HD

余談ですが映画館でこの映画のポストカードもらいました。販促グッズの余りかな。左がジェームズ・フランコ、右がエイドリアン・ブロディ
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