退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『インターステラー』(2014) / 硬派なSF映画ではなくファミリー向けかな

歌舞伎町の新宿ミラノ座で、映画『インターステラー』(2014年、クリストファー・ノーラン監督)を見てきました。原題はInterstellarで、「恒星間(航行)」ぐらいの意味でしょうか。3時間弱の尺で長さを感じさせないのはさすがです。

巷ではキューブリック監督の『2001年宇宙の旅』(1968年)のアップデートだとも言われてました。確かにそう思えなくもないですが、この映画は硬派なSF映画というより、SFの舞台を借りた人間ドラマにフォーカスしたファミリー向けの湿っぽい映画。そういえば近くのシネコンにあったポスターも農場に立つ父娘でした。こんな感じです。
インターステラー (竹書房文庫)

高次の存在との接触という点では『コンタクト』(1997年)、そして滅亡に瀕した地球を救うために期限付きで宇宙に旅立つという点では『宇宙戦艦ヤマト』の要素が入っています。SF映画としておさえておくべきことは、「速度や重力が違うと時間の流れも違う」ということぐらいです。相対性理論ですね。これがわからない人は見ていてワケがわからないでしょう。

この映画の背骨は父娘の愛です。「親より先に死ぬのは親不孝だ」などと言う人がいます。鑑賞中この言葉が頭を過りました。宇宙船に乗っている父親は時間の流れが速いため、地球に残っている娘の年齢が父親の年齢を越えていく切なさがよく描けています。

また人間ドラマということでは、地球存亡の危機だというのに自己顕示欲が強い人たちが次々に登場するのはノーラン監督らしい。そんな場合じゃないだろと思いましたが、同時に例のSTAP細胞の一件を思い出します。

SF考証を始めるといろいろツッコミどころがありますが、細かいことは措いて、CGを排してミニチュアによる特撮にこだわったという映像を楽しむのがいいでしょう。こだわりの宇宙空間の映像をスクリーンで見るだけでも出かける価値はあります。日本映画とは予算がちがいます。

SFと言えば、最後に登場するシリンダー型の宇宙コロニーが印象的です。これはガンダムにも出てくるものより径がずっと小さい。どのくらいが大きさが適当なのか科学的な話を聞きたいものです。あ、SF考証は野暮だからやめておいてほうがいいと上で書きましたが、SFマニアたちによるツッコミ本が出れば読んでみたいものです。

最後に、この映画はアン・ハサウェイの宇宙飛行士コスプレに注目すべきと強調しておきます。魅力的に撮れてますので萌えます。必見です。

Interstellar Movie - Official Trailer - YouTube

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