退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『真田幸村の謀略』(1979) / トンデモ時代劇ここに極まれり

新文芸坐の《祝 80歳&監督生活50周年「遊撃の美学 映画監督 中島貞夫」映画祭》で、映画『真田幸村の謀略』(1979年/東映)を見てきた。ヒット作『柳生一族の陰謀』(1978年)から始まる東映時代劇復興の路線にある一作。

冒頭シーンが宇宙空間の巨大妖星というトンデモ時代劇。「あれ、これ時代劇だよね?」という意表をつくオープニングが斬新。本作は真田幸村松方弘樹)が十勇士とともに徳川家康萬屋錦之介)の首を狙うという昔からある話だが、猿飛佐助(あおい輝彦)が宇宙人という奇想天外な設定に仰天する。

SFを取り入れるという着想はよいが、映画の前半は冗長なので退屈だ。とにかく真田十勇士が多すぎる。いちいち登場シーンがあるものだからなかなか10人揃わないのでイライラする。猿飛佐助が宇宙人という設定が戦いに生かされないことも不満だ。

それでも大阪冬の陣での真田丸の戦いや、大阪夏の陣の後に真田勢が「我こそは幸村なり」と次々に登場して家康を追い詰めるシーンはスクリーンで一度は見る価値があるだろう。なかなか豪華な絵作りになっている。

そしてラストに幸村が家康を討つシーンはインパクトがある。刎ねられた家康の首が高々と垂直に飛び上がる物理法則を無視した演出が清々しい。その直後、幸村は徳川勢の鉄砲隊に射殺されるが、おまいら近くにいるなら家康を助けろよと言いたくなるが、それは東映らしさということで措いておこう。

東映らしいと言えば、意味なくヌードが登場するのも「らしい」だろう。併映は『大奥(秘)物語』(1967年)というR-18作品だったが、本作の方がよっぽど性的描写が過激であるが成人指定されていない。これも時代の流れであろうか。
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