退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『大阪物語』(1999) / 池脇千鶴の映画デビュー作

目黒シネマの市川準監督特集で、映画『大阪物語』(1999年)を見てきた。今年は監督の七回忌にあたるらしい。

監督がCMオーディションで発掘した池脇千鶴のデビュー作。漫才師の両親(田中裕子、沢田研二)を持つ多感な少女が大阪でたくましく生きる姿を描く。

大阪物語 [VHS]

大阪物語 [VHS]

本作はずばり池脇千鶴の映画。大阪出身の人から見たらどうだかわからないが、彼女が大阪弁を含め、とても大阪の風景になじんでいる(と思わせる)。少女時代にはだれでも輝く一瞬があるのだろうが、この映画の美点は、池脇の旬の時期を見事にとらえてフィルムに焼き付けたことだと言える。

市川準監督のフィルモグラフィーを見ると、富田靖子牧瀬里穂田中麗奈などのブレーク前の成長期の女優を起用した映画が多いので、こうした映画を得意にしていたのだろう。

またこの映画では、夢路いとし喜味こいし浜村淳今いくよ・くるよなど、本物の大阪芸人が出演しているのも見どころ。田中裕子と沢田研二が演じる夫婦漫才もなかなかんばっているのだが、やはり本物たちのオーラには敵わない。

見るべき点が多い映画だが、不思議とDVDがリリースされていない。今回の上映は本作を見る貴重な機会だった。今回、劇場では池脇が参加したトークショーがあったがスケジュールが合わずに足を運べす残念。ひと目、池脇千鶴を見たかったなあ。

【映画チラシ】大阪物語 市川準 池脇千鶴 沢田研二 田中裕子 [映画チラシ]
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